研究課題/領域番号 |
16K10740
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60398807)
|
研究分担者 |
糟谷 英俊 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50169455)
恩田 英明 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60185692)
米山 琢 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90318105)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | もやもや病 / 感受性遺伝子 / レアバリアント / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
もやもや病は両側内頸動脈の進行性狭窄とそれに伴う異常血管増生により、脳卒中やてんかんを引き起こす難治性疾患である。多因子遺伝性疾患であり、日本人もやもや病患者では、感受性遺伝子RNF213の変異がおよそ80%で検出される。残り20%の患者でも家族歴陽性例、小児発症例がRNF213変異陽性例と同程度観察されることから、未知の感受性遺伝子の存在が示唆されており、これを特定するのが本研究の目的である。 初年度である本年度は、まず、我々の先行研究(J Am Heart Assoc. 2015; 4(5). pii: e001862.)でRNF213遺伝子解析を行なった103例のもやもや病患者から得られた、2つのRNF213変異陰性患者家系に注目した。一方は家系内に3名の罹患者を有す家系、もう一方は、一卵性双生児の片方が患者でもう片方が健常のdiscordant monozygotic twinsである。罹患者、非罹患者を含めてサンプリングを行ない、全例で全エクソームシーケンスを施行した。双生児解析では残念ながら有望なde novo変異は検出されなかったが、2つの家系でともに機能障害性変異を来す遺伝子がただ一つだけに絞り込まれた。染色体19q13.2に位置するCCER2遺伝子である。N末端にシグナルペプチドを持つ分泌タンパクで、いずれの家系の変異においても蛋白の異常凝集を来す可能性がin silico解析により示唆された。そこで、さらに患者135例と対照199例でCCER2遺伝子のリシーケンスを行ない機能的レアバリアントの関連解析を行なったところ、有意な関連が認められ、患者特有の機能的変異が他にも2種類検出された。RT-PCRにより臓器局在をみてみると、CCER2は胎児脳特異的に発現しており、もやもや病の有望な新規バイオマーカーと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規感受性遺伝子を特定し、日本脳卒中学会の学術誌に論文報告も行なっている。
|
今後の研究の推進方策 |
CCER2変異もやもや病患者もまた稀であり、RNF213変異陰性もやもや病患者の遺伝的背景はかなり異質性が高いと考えられる。未解析のRNF213変異陰性家系がまだ残っており、また、サンプル収集継続によりその数も増えてきているので、引き続き全エクソームシーケンスによる探索を継続する。 CCER2遺伝子については胎児脳特異的に発現する分泌蛋白であることから、要望なバイオマーカーの可能性があるので、機能解析を検討する。まずは、患者脳脊髄液を用いて免疫ブロット法による検出を行なう。臨床研究の倫理承認のもと患者脳脊髄液のサンプリングを実施している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消費税により端数が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
遺伝子配列解析に係る試薬の購入に充てる。
|