研究課題/領域番号 |
16K10742
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
須田 智 日本医科大学, 医学部, 講師 (00366733)
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研究分担者 |
仁藤 智香子 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30409172)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳出血 / 脳卒中 / 幹細胞 / 歯髄由来幹細胞 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 |
研究実績の概要 |
脳出血モデルの安定性が不良であった.具体的には,脳内に注入する自己血液が31 gage needle内で凝固が始まり,注入スピードが途中で低下してしまい予定の注入量を注入することが出来なくなってしまうことがしばしば認められた.脳出血モデル作成から3日後に,脳切片を作成したところ,血腫量や血腫の拡大などにばらつきが生じていた.そのため,麻痺や姿勢異常などの神経徴候が一定しなかったと考えられた.問題点が明らかになったため,今後はその対応を考え,検討を進める予定である. 本モデルの安定性が十分でない場合は,治療効果の判定が困難になることが予想される.その場合は,我々の研究室で,すでに完成されたプロトコールを有する塞栓糸を用いる一過性中大脳動脈閉塞モデル(suture model)や2型糖尿病を有するラット(Goto-Kakizakiラット)を使用した出血性脳梗塞モデルを使用して,研究を進めていきたいと考える. 一方,歯髄由来幹細胞は,継代培養や表面マーカー解析などは問題なく,一過性中大脳動脈閉塞モデルに対して,歯髄由来幹細胞の経静脈内投与を行うことで,虚血性脳損傷に対する抗炎症作用,抗酸化ストレス作用および血液脳関門保護作用を認め,歯髄由来幹細胞の急性期における脳保護効果は確認することが出来た.同様にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の一過性中大脳動脈閉塞モデルに対する保護効果は確認できたため,この両者の併用療法は有望であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
脳出血モデルの安定性が不良であり,治療効果の判定に用いることが困難であった.歯髄由来幹細胞の継代やマーカー解析等は問題ない.
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今後の研究の推進方策 |
脳出血モデルの安定性が悪かった原因として,尾動脈から採血を行い,脳内に投与する過程で,チューブ内,needle内で凝固が始まり,投与スピードが一定化することが出来ないことが主な原因と考えられた.今後は,微量のヘパリン添加や採血から脳内投与までの一連の流れの迅速化を行い,対処していきたいと考えている. また,それでも困難な場合は,脳梗塞モデル(一過性中大脳動脈モデル)を使用し,治療効果を検討することを考慮したいと考えている. 歯髄由来幹細胞に関わる諸費用が高額のため,より安価な薬剤での検討に変更することも考慮せざるを得ない可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,研究の進捗の遅れもあり,使用額が少額となった.来年度は,PCRや免疫組織科学的検討等の予定があり,使用額が増えると思われる.
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