研究課題/領域番号 |
16K10744
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
上田 裕司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (00223470)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 再生医学 |
研究実績の概要 |
脳血管障害の患者数は現在150万人と言われ毎年25万人以上が新たに発症する。神経細胞は自身に再生能力を持たないために、神経機能の回復を目指す場合には神経細胞移植が必要になる。 我々はヒトiPS細胞由来の神経幹/前駆細胞を移植することで片麻痺マウスの運動機能が回復することを報告した。そこではケモカインSDF1がヒト神経細胞の受容体CXCR4に作用して神経細胞の遊走と成熟をもたらす。 我々の移植システムを用いて神経再生なかでも3次元脳組織再構築におけるReelin、Distal-less homeobox等の神経幹細胞走化関連蛋白の役割を解明を行った。Reelinは神経細胞の移動と発達中の脳内の位置の固定の制御を補助する蛋白質として同定されたが、現在では神経の機能発現に重要に関わる事が示唆されている。Reelinは様々な脳内の細胞により産生された後、神経細胞が発現するApoE受容体やVLDL受容体に結合して作用した。Reelinで活性化された神経細胞ではDistal-less homeobox遺伝子のリン酸化とその下流につらなるGSKbetaなどの細胞内シグナル伝達系が活性化された。このReelin刺激により、神経細胞の遊走をもたらすインテグリンの活性化を引き起こして、実際、神経細胞は遊走した。これらの機序を介して神経細胞移植後にはヒトiPS細胞由来神経細胞はReelinを産生して組織修復をもたらした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は当初の予定に沿って、順調に行われており、実験結果もほぼ妥当なものが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの実験結果の再現性を慎重に確認する。 その後は、野生型神経細胞で行った実験を、Reelin経路に遺伝的な欠損を持つ遺伝子改変マウスや自然発症の突然変異マウスであるReelerマウスやYotariマウスを用いて、同様の実験成績が得られるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験結果は当初より非常に妥当なものが得られており、今後の進展が期待できる。 神経機能の移植における修復において、Reelinは我々の当初の予想よりもはるかに重要な役割を果たしていると考えられた。最少の実験で最大の結果を得ていると考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
Reelinの重要性を我々研究者自身が確信することが出来ている。 論文執筆に向けて、遺伝子改変動物での実験をDistal-less homeobox遺伝子異常マウスだけでなく、より下流の分子、例えばGSKbeta遺伝子異常マウスでも行う予定にしている。
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