研究課題
これまでに採取したサンプル中、ハプトグロビン(HP)の表現型(HP1-1、2-1、2-2)、遺伝型(rs2000999)、血中濃度の解析ができたのは、頭部外傷60例、脳内出血56例、くも膜下出血94例、未破裂脳動脈瘤77例、脳動静脈奇形11例、虚血性脳卒中25例、もやもや病12例の全335例となった。統計学的解析を行ったところ、脳動静脈奇形・虚血性脳卒中・もやもや病においては、症例が少なくHPと予後との関連は認めなかった。頭部外傷および脳内出血もまた有意な相関は得られなかった。くも膜下出血においては、発症時の血中濃度が予後不良群で有意に低値を示してした。予後との関連性は、単変量解析では年齢、発症時の重症度(HHG;Hunt&Hess Grade)、脳内出血の有無(Fg;Fisher group)、発症時のHP血中濃度に有意差を認めた(p<0.05)。多変量解析を行うと、HPの血中濃度に有意な相関がみられ、HHGおよび脳内出血の有無に強い傾向がみられた。rs2000999単独での予後予測因子としての有用性を検討したところ、単変量解析ではp=0.047と有意差が得られたが、多変量解析ではp=0.28単独因子とはならなかった。結合能が低く、血中濃度が低いHP2-2かつrs2000999がGG以外であることは、多変量解析でp=0.06と強い傾向がみられ、予後予測因子となりうる可能性が示唆された。これらについては、第77回日本脳神経外科学会、第48回日本脳卒中の外科学会にて報告した。
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