研究実績の概要 |
クモ膜下出血 (Subarachnoid hemorrhage; SAH)患者は約40%が死亡, 社会復帰できるのは約30%に過ぎないため, 社会的損失は計り知れない. SAHの最も重要な合併症である脳血管攣縮と遅発性脳虚血は, SAHより遅延して発症し, かつ遷延し, そして遠隔部位にも発症する. すなわち“時間的, 空間的拡大: Temporo-Spatial Expansion”という他の臓器には見られない病理・病態的特徴がある. そこで本研究では, この問題を脳の特殊性である“Neurovascular Unit”と特殊なリンパ流の一種であることが判明してきた“髄液流Glymphatic system”に対するDAMPs (Damage Associated Molecular Patterns) の振舞いという面からアプローチする. 具体的にはexosome, NETs (Neutrophil Extracellular Traps) を担体とするDAMPs: HMGB1とヒストンの脳におけるダイナミズムを解析し, これが SAH 合併症の時空軸にどのように関るのかを明らかにする. クモ膜下出血患者の血液および髄液検体を収集し解析しているが、患者から臨床検体を採取する研究協力者が異動となり、初年度は、検体採取が思うようにできなかった。 至急、動物実験の準備を進め、本年度の6月より開始する。
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