研究課題
SDラット40匹(365.2±28.4g)を使用して、無作為に20匹ずつ予防運動群と非運動群に分けた。予防運動群は、トレッドミル強制運動装置(MK-680, MUROMACHI KIKAI CO. LTD, Japan)を使用して、25m/minの速度で3週間、週5日、1日30分の予防運動を行った。非運動群は、3週間ケージ内で自由飼育を行った。予防運動介入終了後にクモ膜下出血の作製を行った。クモ膜下出血作製後に、マイクロCT撮影を行いクモ膜下出血が作製できているかどうかを確認し、予防運動群、非運動群で同様の出血量があることを評価した。予防運動群では、20匹中15匹作成でき、非運動群では、20匹中18匹であった。クモ膜下出血作成後5時間で屠殺を行い、屠殺前に、神経行動学的評価、運動-感覚機能の評価、覚醒時間の評価を行った。神経行動学的評価は、ガルシアによる神経評価法を用いて行った。運動-感覚機能の評価は、(Otsuka et al 2019 ) らによるテープテストを用いて実施し、覚醒時間の評価は、クモ膜下出血作製後から正向反射がおこるまでの時間を計測し、独自のスケールで評価を行った。クモ膜下出血作製後5時間で、予防運動群で15匹中11匹が生存し、非運動群では、18匹中9匹が生存した。神経行動学的評価は、非運動群に比べて予防運動群で有意に高く、障害が軽減していた。 テープテストは、非運動群に比べて予防運動群で左右の上肢で反応時間が短縮しており、運動-感覚機能障害が有意に軽減していた。
3: やや遅れている
当初は、クモ膜下出血患者の血液と髄液を採取し、血中・髄液中DAMPs(Damage Associated Molecular Patterns) 値と患者の脳血管攣縮 (vasospasm) と 遅発性脳虚血 (Delayed Cerebral Ischemia)に相関がみられるか検証する予定であった。しなしながら、担当者が異動したことで、進んでいない。 動物実験としては、当初、マイクロミニブタを用いる予定であったが、サイズの問題で、マイクロCTを撮影できず、ラットモデル作製へと変更し、ラットクモ膜下出血モデルを完成させた。当初の予定では、トロンボモジュリンを用いて、その治療効果を評価予定であったが、期待する結果を得ることができなかった。そのため、介入群として、クモ膜下出血作製前に運動を行わせ、その "pre-conditioning" による予防効果を評価することへ変更した。
今後、免疫染色、蛍光免疫染色、ウエスタンブロッティングなど、ターゲットなる物質の解析を進め、統計処理を行う。 統計処理の結果、非介入群と介入群との2群間で、有意差が得られれば、早急に論文を執筆し、メジャージャーナルへ投稿する。
予定の期限までに実験を終了できず、現在も継続中である。今年度中に論文投稿予定であり、次年度分 (2019年度) に繰り越して使用したいと考えている。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
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