研究課題/領域番号 |
16K10747
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
横田 千晶 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80300979)
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研究分担者 |
小亀 浩市 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40270730)
天滿 敬 大阪薬科大学, 薬学部, 教授(移行) (90378787)
越野 一博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (90393206)
安野 史彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60373388)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 急性期ラクナ梗塞 / 脳PET / diffusion tensor imaging / 神経可塑性 |
研究実績の概要 |
平成28年4月~29年10月に片側の穿通枝領域の脳梗塞例のうち、自立歩行可能で同意取得可能であった35例(男24例、平均65歳、平均入院時National Institutes of Health Stroke Scale 2、右側病変18例)を登録した。全例に対して、退院時まで、療法士による一般的なリハビリテーションを行った。発症早期(平均6±4日)と3ヶ月後(平均97±21日)の2点で頭部MRI拡散テンソル画像(DTI:diffusion tensor imaging)行い、拡散異方性の程度を示すfractional anisotrophy (FA)値の変化を比較した(Matlab2017, SPM12)。 3ヶ月後は発症早期に比べて右楔前部のFA値の有意な低下を認め (p<0.001)、同部において構造変化が生じている可能性があった。楔前部は、認知・記憶などに関連しており、同部の構造的変化は、慢性期ラクナ梗塞例における高次脳機能障害と関連している可能性がある。 16例(15例が右利き)に対しては、発症から早期/3ヶ月後に、MRI拡散イメージング手法としてNeurite Orientation Dispersion and Density Imaging (NODDI)と脳PET( O15-gas)を行った。3ヶ月後に比べて、早期では左島皮質、左中心前回、前帯状回の血流量が有意に上昇(p<0.001)、脳酸素代謝率にはいずれの領域も有意差はなく、NODDIでは3ヶ月後が早期に比べて左の中心前回の神経密度を示す指標(intra-neurite volume fraction/neurite density)が有意に増加した(p<0.001)。今回の症例はいずれも巧緻運動障害例であり、病変側にかかわらず右手で日常動作を行うことが、左中心前回の可塑性を生じた可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、ラクナ梗塞例50例登録を目指していたが、当院の研究用MRIの老朽化により、本年7月でMRI検査を中止せざるおえなくなった。従って、2018年度の患者登録は7月以後進まず、最終的には40例弱の症例登録で終了すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、急性ラクナ梗塞例とは別に、正常例のNODDIと認知機能データを取得している。今後は、急性ラクナ梗塞例と正常例との比較を行い、脳卒中後うつにおける画像所見についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目に予定していた国際学会での発表を3年目に変更した。3年目に欧州脳卒中学会と米国脳卒中学会での発表を予定している。
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