研究課題/領域番号 |
16K10748
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 幸成 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00571811)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IDH / monoclonal antibody / IDH1 / IDH1-R132L / immunohistochemistry |
研究実績の概要 |
変異型isocitrate dehydrogenase 1/2(IDH1/2)が検出されるgliomaの予後は、野生型IDH1/2の予後よりも格段に良く、gliomaの予後診断マーカーとして有用である。 本研究において、変異型IDH1/2の免疫抗原等の作製およびglioma症例におけるIDH1/2の遺伝子型のスクリーニングを行った後、すべての変異型IDH1/2に対する特異的抗体を樹立し、gliomaの臨床診断に応用することを目標としている。さらに、すでに樹立した変異型IDHに対する特異的抗体とそのエピトープとを共結晶化し、抗体による変異型IDHの認識メカニズムを解明することを目的としている。 平成28年度には、これまで本研究室で作製した変異型IDH1/2に対する抗体の中で、免疫組織染色に有用かどうかが不明であったクローンMsMab-2について、免疫組織染色を実施した。その結果、MsMab-2はIDH1-R132Lの変異型の切片に対し、特異的に反応性を示した。これまで、IDH1-R132Hに対するクローンHMab-1, クローンHMab-2、IDH1-R132Sに対するクローンSMab-1、複数の変異型に対するクローンMsMab-1が免疫組織染色に有用であることがわかっていたが、さらにMsMab-2がIDH1-R132Lに対し有用であることがわかった。これらの組み合わせにより、より正確にIDHの変異型を免疫組織染色で見分けることが可能になった。 また、以前樹立したクローンMsMab-1のFab断片と、そのエピトープであるIDH1-R132SおよびIDH2-R172Sのペプチドとの共結晶化に成功した。X線構造解析を行った結果、MsMab-1によるIDH1-R132SおよびIDH2-R172Sの認識メカニズムが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
変異型IDHに対する特異的抗体は、世界でほとんど報告がなく、特に免疫組織染色に有用な抗体はIDH1-R132Hに対する抗体のみである。今回、IDH1-R132Lに対する抗体(MsMab-2)が免疫組織染色に有用であることを示すことができ、当初の計画以上に研究が順調である。
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今後の研究の推進方策 |
IDH1-R132Cに対する抗体は、未だに世界で報告が一切ない。他の変異型に比べ、システインが含まれることから、抗原作製や抗体作製が非常に困難である。来年度中に、IDH1-R132Cの抗原を調整することを目標とし、再来年度には、特異的抗体の作製に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は計画通りに研究を遂行したため、残額はほとんどない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算を合わせ、次年度も計画的に研究を遂行する予定である。主に、IDH1-R132Cに対する抗体作製のための抗原の調整に集中する。
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