研究課題/領域番号 |
16K10749
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金森 政之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60420022)
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研究分担者 |
麦倉 俊司 東北大学, 大学病院, 准教授 (20375017)
前川 正充 東北大学, 大学病院, 助教 (70572882)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | preoperative / molecular / diagnosis / glioma |
研究実績の概要 |
神経膠腫の術前分子診断、術中分子診断および早期の治療効果予測を行うために以下の検討を平成29年度におこなった。 1.神経膠腫症例の治療前にproton MR spectroscopyを撮像した。データーをLCModelにて解析し、腫瘍内の約30種類の代謝産物を測定した。この結果と、神経膠腫の診断に有用なIDH遺伝子変異、染色体欠失などの遺伝子異常との相関関係を120例で検討した。結果、分子診断に有用な新規の代謝産物候補を見出した。 2.化学療法前後の代謝産物の変化をproton MR spectroscopyにて測定し、早期の治療反応の予測可能性について40例で検討した。神経膠腫治療で頻繁に用いられるテモゾロミド、ベバシズマブ投与後早期における代謝産物を測定した。3か月後の増悪を予測する代謝産物を探索しているが有用な分子は現在までに同定できなかった。 3.摘出検体70例で、分子診断に寄与できる可能性がある代謝産物を9種類測定し、分子異常との相関関係を検討した。mass spectrometryで70例の腫瘍検体中の、代謝産物を測定した。現在までに一部の遺伝子異常を同定できる分子は判明したが、他の分子異常の同定につながるバイオマーカーの同定には至っていない。これと並行して、術中分子診断に有用な既知のバイオマーカーの測定系を確立し、10分で診断が可能となった。この内容を英文誌に投稿中である。
1-3について、さらなる症例の蓄積を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術前・術中、放射線化学療法中の代謝産物の測定値を順調に蓄積し、臨床に有用なマーカーの候補を絞り込むことができた。また既知のバイオマーカーの測定系を確立し、論文化まで研究が進んだことは予測以上であった。 一方で、期待していた治療反応性予測を代謝産物でおこなう試みについては症例の蓄積が予定より少なく、バイオマーカーの絞り込みが進んでいない状況で、これは予測よりも進捗しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の検討を予定している。以下を平成30年度におこない、研究内容の論文化のみならず、実用化への方法を模索する。 1.術前・術中分子診断に有用なバイオマーカーの候補に対してValidation studyをおこない、バイオマーカーとしての有用性を検証する。バイオマーカーとして有用である場合は、実臨床への応用を視野に簡便な測定方法を確立することを目標に検討を行う予定である。2.術中分子診断につながる簡便な方法を確立できたので、マーカーの数を増やし、分子診断の精度、汎用性をさらに高めていく予定である。3.治療反応性予測のためのバイオマーカーの探索を引き続きおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
12,557円が次年度使用額として生じた。脂質を中心としてバイオマーカーを探索するための試薬費用として2万円以上の物品が必要であったが購入することができなかった。次年度にこの額を合わせ、必要な物品の購入に充てる予定である。
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