研究課題/領域番号 |
16K10756
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
阿部 匡史 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (60423282)
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研究分担者 |
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
竹居 孝二 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40322226)
山田 浩司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80325092)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダイナミン / アクチン / SSRI |
研究実績の概要 |
ATP存在下ピレンでラベルした単量体アクチンを脳細胞質に加え、ホスファチジルセリン(PS)を含んだ人工脂質膜(リポソーム)で刺激すると、アクチン線維形成を誘導できる。本アッセイ系におけるアクチン重合反応はダイナミンGTPase依存性である。この系を用いてSSRIに属するフルボキサミンがダイナミンGTPaseを阻害することで、アクチン線維形成を低下させることを発見した。このフルボキサミンの作用に重要な分子構造を明らかにするため、側鎖の異なった類縁構造体を12種類作成した。この類縁構造体の一つは、強力なアクチン線維形成低下作用を有しており、構造最適化の重要なヒントが得られた。また、この分子は、がん細胞の遊走も強く抑制する結果が得られた。今後、構造最適化に向けた分子設計も並行して行うと共に、詳細な細胞における効果を調べる。フルボキサミンは、ダイナミンGTPaseを阻害するが、細胞においては、他の標的分子の存在も考えられる。フルボキサミンに結合するダイナミン以外の細胞質中に存在する分子を同定するために、遠心処理で生化学的に分離可能なフルボキサミンを固定化したビーズを作成した。このビーズを用いて、結合タンパクの同定を試みる。さらに、in vitroのダイナミン2によるアクチン線維形成機構の詳細を調べるため、コムギ無細胞タンパク発現系を用いて、ダイナミン2解析系を構築した。今後、この系を用いてダイナミン阻害剤の効果と共に、その作用機序を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、ドラッグ・リポジショニングの考えにより、同定したフルボキサミンの作用機序の解明と構造最適化を優先しており、さらなるアクチン線維形成を抑制するダイナミンGTPase活性阻害剤のスクリーニングが遅れている。今後、候補分子を集めて、構造的な推察を加えた上でスクリーニングをルーチンに進める体勢を構築する。
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今後の研究の推進方策 |
ダイナミンによるアクチン制御機構において、コムギ無細胞タンパク発現系によるダイナミン2の簡便な調製法と、それを用いたアクチン線維形成への効果を調べる系を構築した。このため、ダイナミンによるアクチン制御系の詳細を解析する道が開けた。あらたに、この系を加えて、阻害剤のスクリーニングを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度分の経費は、効率よく執行できたが、今後購入予定の消耗品が、残予算では購入できないので、繰り越して次年度予算と合せて購入する事とした。 (使用計画) 消耗品購入予定。
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