研究課題/領域番号 |
16K10764
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
渡邉 孝 宮崎大学, 医学部, 講師 (90573337)
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研究分担者 |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00443664) [辞退]
竹島 秀雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (70244134)
石内 勝吾 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10312878) [辞退]
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40284856)
菅原 健一 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (50375573) [辞退]
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 助教 (40468046)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経膠芽腫 / 分子標的療法 / 多剤併用療法 / 代謝回路再編成 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Aktを介するシグナル伝達経路を標的とした神経膠芽腫に対する多剤併用化学療法を確立することである。Aktを介するシグナル伝達経路では、AMPA/Aktシグナル伝達経路、PI3K/Akt/mTORCシグナル伝達経路、sonic hedgehog (SHH)シグナル伝達経路が重要視されており、これらの伝達経路を同時に阻害する多剤併用化学療法について検討を重ねてきたが、腫瘍増殖に関与する伝達経路を阻害するだけでは不十分であると考えられた。近年、腫瘍細胞における代謝回路再編成(metabolic reprogramming)は、DNAのメチル化やヒストン修飾といったエピジェネティックな変化や、腫瘍増殖に関与するシグナル伝達系の活性化と密接に関連して、細胞増殖、生存、転移、幹細胞機能維持に関与していることが注目されている。 必須アミノ酸であるメチオニン(Met)は、細胞内で葉酸回路と共役しているone-carbon metabolismの一部であるMet代謝回路で代謝され、メチル基供与体として働くS-アデノシルメチオニン(SAM)を介して、DNAやヒストンのメチル化修飾に関与すると考えられていることから、がん治療の標的として注目されている。実際にMet摂取を制限することによるSAM合成量の低下は、多機能幹細胞の分化誘導や細胞死を引き起こすことが知られている。GBMにおいても、Metの取り込みが亢進している部位は、悪性度が高いことが知られているが、その詳細な機序は未だ解明されていない。 現在我々は、神経膠芽腫組織検体から樹立した神経膠芽腫幹細胞株(Glioblastoma stem cell; GSC) を用いて、Met代謝とAktを介するシグナル伝達経路の相互作用とこれらの代謝経路と腫瘍増殖因子や腫瘍抑制因子の関連を解明するために、研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、細胞株の樹立と細胞増殖能の評価、RT-PCR法による遺伝子発現解析、蛍光抗体法とフローサイトメトリーを用いた蛋白発現解析、DNAメチル化解析(バイサルファイトシーケンス法)を行って、遺伝子レベルでの発現と蛋白レベルでの発現を解析し、DNAのメチル化やヒストン修飾といったエピジェネティックな変化や、腫瘍増殖に関与するシグナル伝達系の活性化のどのような変化をきたすのか検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた実験データをまとめ、報告する予定である。その後は、新たな治療法の創出に向けて、抑制薬の効果を解析する予定である。
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