研究課題
神経膠芽腫に対する分子標的療法の標的となるシグナル伝達系として、Aktを介するシグナル伝達系が重要視されており、その中でも①AMPA/Akt経路、②PI3K/Akt/mTORC経路、③SHHシグナル伝達経路が重要視されてきた。これまでの研究では、これらのそれぞれ独立した3つの経路を阻害する治療薬として、忍容性が良好で、他の固形癌において、第一相・第二相臨床試験で使用されている薬剤を用いて、抗腫瘍効果を解析することが主な計画であった。研究を進めていく中で、複数の経路を阻害した場合でも、併用効果に限界があるのは、腫瘍内不均一性や表現型可塑性に起因する治療抵抗性が主な原因となっていると考えるに至った。腫瘍内不均一性や表現型可塑性をもたらす要因として、シグナル伝達系を制御するDNAのメチル化やヒストン修飾といったエピジェネティックな変化が重要視されており、この変化は腫瘍内でダイナミックに変化しているものと考えられる。このため、メチオニン代謝経路、ヘム代謝経路、コレステロール代謝経路に着目して研究を進めてきた。これまでの研究では、メチオニン除去培地で神経膠芽腫幹細胞を培養して、コロニーアッセイ法で コロニー形成が極端に減少することを確認した。更に、細胞培養液からメチオニンを除去することにより、メチル化に関与する遺伝子発現が変化し、ヘム代謝経路に関与する遺伝子が変化することにより、5-ALAで誘導される腫瘍細胞の蛍光強度が低下することが確認された。メチオニン代謝経路とヘム代謝経路は、メチオニン代謝経路の再編によるエピゲノム修飾を介して、密接に、ダイナミックに関連していると考えられる。ここまでの研究成果は、学術論文として報告予定である。更に、メチオニン代謝経路と他の代謝経路の関連について解析を進めており、新たな研究課題として継続中である。
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