研究課題/領域番号 |
16K10767
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
西村 文彦 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (70433331)
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研究分担者 |
中村 光利 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (00305715)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Glioblastoma / Immunotherapy / EGFRvIII / Chimeric antigen / T cell / Natural killer cell |
研究実績の概要 |
本研究では悪性神経膠芽腫細胞に発現するがん変異抗原epidermal growth factor receptor variant III(EGFRvIII)に特異的なchimeric antigen receptor (CAR)遺伝子をレンチウイルスベクターを用いてヒトNatural killer(NK)細胞やヒトγδ型T細胞に導入し、膠芽腫細胞に対する抗がん効果を評価することが目的である。本実験ではElongation factor-1α遺伝子プロモーターの下流にEGFRvIII抗体の抗原結合部位とCD28、4-1BB 、CD3ζの細胞内ドメインを連結させたCAR遺伝子を挿入したSelf-inactive(SIN)型レンチウイルスベクターをgag /pol/RRE発現ベクターであるpMDLg/pRRE、Rev発現ベクターであるpRSV-Rev、VSV-G発現ベクターであるpMD2.Gの3つのベクターとともにHEK293T細胞に導入し、抗EGFRvIII-CAR遺伝子組換えレンチウイルスを作製した。作製したレンチウイルスをヒト血液由来T細胞と混合培養することで抗EGFRvIII-CAR遺伝子をT細胞に導入し強制発現させ、EGFRvIII発現膠芽腫細胞株(EGFRvIII発現U87MG)に対する細胞増殖抑制効果を評価した。また、末梢血由来NK細胞への抗EGFRvIII-CAR遺伝子の導入を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
末梢血由来T細胞への抗EGFRvIII-CARの導入効率は良好であった。作製した抗EGFRvIII-CAR導入T細胞 はEGFRvIIIを発現していないU87MGに対して細胞増殖抑制効果をほとんど示さなかったが、EGFRvIIIを発現するU87MGに対しては強力な細胞増殖抑制効果を示した。一方で、末梢血由来NK細胞への抗EGFRvIII-CARの導入効率は低かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、NK細胞株でまず抗EGFRvIII-CARの導入を行い、効率の良い導入方法を検討する。次いでその改良された導入方法を用いて、末梢血由来NK細胞に抗EGFRvIII-CARの導入を行う。もし、それでも導入効率が低い場合は、抗EGFRvIII-CAR 導入T細胞およびNK細胞株を用いて、抗腫瘍効果の判定を行っていく。具体的には抗EGFRvIII-CAR導入T細胞や抗EGFRvIII-CAR導入NK細胞を用いて、EGFRvIII発現膠芽腫細胞に対する増殖抑制効果、細胞傷害活性、サイトカイン分泌能を評価する。また、EGFRvIII発現膠芽腫細胞移植NOGマウスに対する抗がん効果を評価する。これらの知見をもとに膠芽腫に対するEGFRvIII特異的CAR発現NK細胞ならびにγδ型T細胞の抗がん効果を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の研究進行状況から1366円の次年度使用額が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養に必要なピペット等の実験消耗品使用のための購入費として使用させていただく予定です。
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