研究課題
膠芽腫は現在の標準治療である手術、放射線療法、化学療法をもってしても予後不良の腫瘍であり、新たな治療法が切望されている。一方で膠芽腫に対する免疫療法として細胞傷害性細胞(キラー細胞)、とりわけγδT細胞やNK細胞と呼ばれるMHC(major histocompatibility complex)非拘束性キラー細胞を用いた治療法が現在注目されている。ただ、γδT細胞やNK細胞をもってしても、がん細胞自体が免疫抑制系を利用してがんに対する免疫監視機構から逃避すると、その効果は減弱される。そこで我々は、近年注目されているチェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体とγδT細胞・NK細胞を併用することにより、治療効果の相乗効果を検討することとした。これまでに平成28年度において、ヒト膠芽腫由来細胞株であるU87MGならびにT98Gの細胞株を10%FBS含有DMEM培地にて37℃、5%CO2、湿度100%の環境で培養を行った。また健常人末梢血よりLymphoprepを用いた比重遠心分離法によって単核細胞を分離する。MACSを用いて特定の細胞集団を除去し、高濃度IL-2を含む含有AIM-V培地にて培養を開始する。以降、細胞の増幅培養に際してはIL-2 含有AIM-V 培地にて増幅培養を行う。培養開始ならびに培養1日目、3日目、5日目、7日目、14日目、28日におけるNK細胞におけるPD-1の発現を、フローサイトメータを用いて解析した。U87MGならびにT98GについてはPD-1のリガンドであるPD-L1の発現を同様に解析を行った。
3: やや遅れている
昨年度は、条件設定に時間を要し、γδT細胞系の実験ができておらず、追加で実験予定である。
今後、γδT細胞を用いたPD-1発現の検討を行い、in vitroでの膠芽腫細胞株に対する抗PD-1抗体による腫瘍殺傷効果の検討を行う。さらに、上記に実験結果を踏まえて、NOGマウスを用いたin vivo系の実験をすすめる予定である。
平成28年度の研究状況から残金があった。
今年度での実験に必要である試薬、器具などを購入に充てる予定である。
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