研究課題
膠芽腫は現在の標準治療である手術、放射線療法、化学療法をもってしても予後不良の腫瘍であり、新たな治療法が切望されている。一方で膠芽腫に対する免疫療法として細胞傷害性細胞(キラー細胞)、とりわけγδT細胞やNK細胞と呼ばれるMHC(major histocompatibility complex)非拘束性キラー細胞を用いた治療法が現在注目されており、我々のグループもその治療効果を報告してきた(J Neuro-oncol. 2014 Jan;116(1):31-9)。ただ、γδT細胞やNK細胞をもってしても、がん細胞自体が免疫抑制系を利用してがんに対する免疫監視機構から逃避すると、その効果は減弱される。そこで我々は、近年注目されているチェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体とγδT細胞・NK細胞を併用することにより、治療効果の相乗効果を検討する。平成28年度の実験で得られたNK細胞のPD-1発現および膠芽腫細胞株のPD-L1発現結果を踏まえて、平成29年度ではNK細胞と膠芽腫細胞株との共培養下でのPD-1の発現について検討を行った。またin vitroのおいて、膠芽腫細胞株に対するNK細胞と抗PD-1抗体の抗腫瘍効果の相乗効果についてapoptosisを踏まえて検討をおこなった。また、NK細胞と同様の実験系を用いてγδT細胞のPD-1発現、抗PD-1抗体併用における抗腫瘍効果を検討した。
3: やや遅れている
それぞれの膠芽腫細胞株では、PD-L1の発現は確認できるものの、我々が独自の培養方法で培養を行っているNK細胞のPD-1発現が予想よりも低いことが分かった。そのため、条件の調整等に時間を要したため実験計画より多少の遅延が生じしている。
今後は、NK細胞およびγδT細胞と抗PD-1抗体をin vivoで投与することよる抗腫瘍効果の検討を行う。U87MGもしくはLN-18を最適量NOGマウスの皮下に移植後、以下の4群に分けて尾静脈もしくは腹腔より投与する。Group 1 対照群:PBS投与、Group 2 Nivolumab(抗PD-1抗体)投与群: 2mg/kgGroup 3 NK細胞投与群 : 1 X 107 細胞、Group 4 Nivolumab、NK細胞投与群 :1 X 107 細胞膠芽腫由来細胞株を移植後14日目にNivolumabを投与する。Nivolumabはその後1週間間隔で計4回投与する。NK細胞は14日目に投与し、その後NK細胞は1週間間隔で計4回投与する。必要に応じてIL-2を全群に対して追加投与することも考慮する。
実験器具の購入に端数が生じたため、次年度繰り越すこととしたため。
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Neurochemical Journal
巻: 11 ページ: 43-49
10.1134/S1819712416040073