研究課題
膠芽腫は現在の標準治療である手術、放射線療法、化学療法をもってしても予後不良の腫瘍である。一方で膠芽腫に対する免疫療法として細胞傷害性細胞、とりわけγδT細胞やNK細胞と呼ばれるMHC(major histocompatibility complex)非拘束性キラー細胞を用いた治療法が現在注目されており、我々のグループもその治療効果を報告してきた。ただ、γδT細胞やNK細胞をもってしても、がん細胞自体が免疫抑制系を利用してがんに対する免疫監視機構から逃避すると、その効果は減弱される。そこで我々は、近年注目されているチェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体とγδT細胞・NK細胞を併用することにより、治療効果の相乗効果を検討する。平成28年度の実験で得られたNK細胞のPD-1発現および膠芽腫細胞株のPD-L1発現結果を踏まえて、平成29年度ではin vitroにおいて、膠芽腫細胞株に対するNK細胞と抗PD-1抗体の抗腫瘍効果の相乗効果についてapoptosisを踏まえて検討をおこなった。また、NK細胞と同様の実験系を用いてγδT細胞のPD-1発現、抗PD-1抗体併用における抗腫瘍効果を検討した。結果、NK細胞投与群およびγδT細胞投与群いずれにおいても、U87MG細胞株およびT98G細胞株に対する抗PD-1抗体によるアポトーシス誘導効果は認めなかった。平成30年では、膠芽腫細胞株であるU87MGを用いたNOGマウスへの皮下腫瘍モデルで、NK細胞と抗PD-1抗体を併用することによる抗腫瘍効果を検討した。結果、コントロール群とNK細胞移植群およびNK細胞/抗PD-1抗体併用群との間に、overall survivalに有意差がみられたが、NK細胞移植群とNK細胞/抗PD-1抗体併用群との間には有意差がみられなかった。
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