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2016 年度 実施状況報告書

上衣腫におけるTERT発現機序の解明と新規標的治療の開発に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K10775
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

市村 幸一  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40231146)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードTERT / 上衣腫 / RELA / 融合遺伝子 / ルシフェラーゼ / rs2853669
研究実績の概要

平成28年度は88例の上衣腫に対してRT-PCRまたはFISHを用いてC11orf95-RELA融合遺伝子を調べ、16例のテント上上衣腫で融合遺伝子を認めた。また94例の上衣腫に対してTERTのmRNA発現を測定した結果、テント上の上衣腫のほぼ全例と、テント下上衣腫の一部にTERTの著しい発現亢進を認めた。TERT promoterの点突然変異は113例中3例にのみ認められたが、点突然変異上流のSNP (rs2853669)がTERT promoterの点突然変異と相互作用を持つことにより発現調節に関わっているという報告があるため、TERT promoter mutationとrs2853669の関係を探索する目的で、ルシフェラーゼリポーターアッセイを行った。TERT promoterの311塩基とexon 1の163塩基を含む474塩基の領域をクローニングし、rs2853699のSNPのTまたはC、およびC228TとC250Tの変異をいずれかを持った組み合わせでベクターを構築した。これらのベクターをそれぞれHEK293Tに導入したところ、C228TではSNPの状態に関わらずプロモーターの活性化が認められたが、C250Tはrs2853669がC variantで会ったときのみ活性の亢進を認めた。現在rs2853669のgenotypingのアッセイを構築しており、平成29年度は上衣腫においてrs2853669のSNPとTERT発現との関係を調べるとともに、TERT promoterの上流を含めた約2.5kbの領域のTERT発現における意義をルシフェラーゼアッセイを用いて探索する。さらに、PDXおよびRELA融合遺伝子をin vivoで導入するRCAS/tv-a技術などを用いて上衣腫の動物モデルを作成する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上衣腫検体の解析については順調に進んでいる。ルシフェラーゼベクターの構築も当初の予定よりも進んでおり、特にrs2853669のプロモーター活性に及ぼす影響については予想以上の進展があった。動物モデルの作成については平成29年度上半期に予定されている新研究棟への動物実験室の移転に伴い、現在施設内で動物実験が著しく制限されており、本格的な再開が本年8月以降になることから当初の予定よりはやや遅れがみられるが、平成29年8月以降は予定通り進められることが期待されている。

今後の研究の推進方策

平成29年度はTERT promoterの機能解析をさらに進めるとともに、エリブリンをはじめとしたTERT阻害剤の上衣腫に対する抗腫瘍効果を、培養細胞・動物モデルを使って検討を開始することを目指している。またC11orf95-RELA融合遺伝子を導入した細胞などを共同研究を通じて入手し、RELA融合遺伝子とTERT発現の関係についても探索を進めていく。上衣腫の検体は引き続き収集し、融合遺伝子・SNPの解析、TERTの発現、PDXの作成などを進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 小児脳腫瘍についてのゲノム研究から明らかになった 新規知見と臨床への展開2016

    • 著者名/発表者名
      市村幸一
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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