研究課題/領域番号 |
16K10782
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
前原 健寿 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40211560)
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研究分担者 |
稲次 基希 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00422486)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レッドスパイク / グリーンスパイク / HFO / 側頭葉てんかん / 麻酔薬 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き海馬硬化を有する内側側頭葉てんかんの患者;術中の皮質脳波測定を、術前,術中、術後測定を施行した。症例は10例に増え側頭葉外側、海馬傍回、海馬白板上から皮質脳波を測定した。スパイクおよびスパイクにHFOが重畳しているレッドスパイクを測定した。さらにレッドスパイクをripple帯域(80-200Hz)とfast ripple(FR)帯域(250-600Hz)に分別した。またスパイクは麻酔医薬の影響を受けるためセボフルラン麻酔薬の濃度を1.5%から3%まで変えてレッドスパイク出現率を検討した。 1)その結果焦点部位の海馬傍回ではSevoflurane濃度が上昇すると、Spikeに重畳している FR の出現率は上昇し、Sevoflurane2.5%では約6%のspikeにFRを認めた。いずれのSevoflurane濃度においても、非焦点部位の側頭葉外側皮質ではFRは認めなかった。以上より、sevoflurane麻酔下の術中皮質脳波においては、賦活されるFRがRed spikeの検出に有効な可能性が示唆された。この結果は、2019 年1月の日本てんかん外科学会で報告した。 2)側頭葉内側切除後に、側頭葉外側には残存するrippleも認めないスパイクが多く認められ、真のグリーンスパイクである可能性が示唆された。この結果は2019 年1月の日本てんかん外科学会で報告した。 3)結節性硬化症乳児のスパイクと術中脳波で記録された発作部時スパイク、高周波律動、緩電位変動位とを比較し、レッドスパイクについて検討した。この結果は、2017年11月開催の日本てんかん学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内側側頭葉てんかん症例におけるレッドスパイクの解析は概ね予定通り進行し、現在10例になっている。麻酔濃度によるレッドスパイクの変化について国際学会で発表し誌上報告の予定である。観察期間は短いがレッドスパイク出現部位の切除は、発作消失につながることも確認している。側頭葉外側皮質にみられるスパイクがてんかん原性のないグリーンスパイクであることも、HFOの解析で充分に証明でき、誌上報告を予定している。また結節性硬化症乳児のスパイクと術中脳波で記録された発作部時スパイク、高周波律動、緩電位変動位との関係については近々投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度の今年度には、内側側頭葉てんかん症例のレッドスパイクと麻酔濃度との関係を誌上報告し、さらに側頭葉外側にみられるグリーンスパイクの特徴についても誌上報告する予定である。同様の手法は、側頭葉外てんかんにも応用できる。またスパイク以外の部位に出現する高周波律動にも着目して、間欠期脳波でのてんかん原性解明にも取り組みたい。 尚、脳形成異常の患者では、対象症例を拡大して頭皮脳波で間欠期にみられる律動性のスパイクに着目して、レッドスパイクの存在を証明する予定である。 また、術後患者に対しては引き続きレッドスパイク出現部位の切除が発作消失につながることを観察していく予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究成果発表の場は、国内が主であったため旅費に残額が生じた。 次年度は、研究成果を多くの学会で発表する予定である。
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