研究課題/領域番号 |
16K10786
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
圓尾 知之 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (90533810)
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研究分担者 |
貴島 晴彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10332743)
押野 悟 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40403050)
中村 元 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80533794)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | てんかん / VNS / 脳血流 |
研究実績の概要 |
難治性てんかんに対する迷走神経刺激術の有効性が示され、臨床応用されるに至っているが、その機序は未だ明らかでない。今研究では、難治性てんかんへの迷走神経刺激術が与える影響についての作用機序を解明するため、てんかんモデル動物の脳血流変化を複数のモダリティーで解析し比較検討し、迷走神経刺激のてんかんや脳機能に与える影響と作用機序を解析し、これらの治療法の効果と適応の確立を目指す。まず初年度は、局在関連性てんかんモデルラットの作成および迷走神経刺激手技の確立と脳波測定法の確立を目指し実験を進めた.今年度は、前年度に引き続き、安定したモデルラットの作成と、その迷走神経刺激によるデータの収集を行った。慢性てんかんモデルの作成は、発症頻度が悪く、発作をdetectして実験する必要があるため、現実的な実験は困難であり、おもに急性期モデルを用いて実験を行った。前年度に行った、カイニン酸腹腔内投与モデルを、開頭および迷走神経刺激装置の設置を行った状態で作成し、脳波・脳表血流の同時計測しながら、てんかん波の検出と脳表血流の変化をモニタリングした。 急性モデルは薬物投与全例では生じず、また過量投与により、観察を続行できない個体も存在するため、一定時間観察可能であった個体のデータを解析した。迷走神経刺激により、一時的には脳血流は増加する傾向にあるが、刺激を継続することで、血流はやや減少する傾向があり、これにより、発作伝播時の脳血流の上昇を抑制できている可能性がある。一方で、脳血流の減少が、burstを抑制する可能性もあり、実際に刺激を継続している間の、発作波の出現は刺激しない状態に比べ、減少している傾向がみられている。これらについて、現在刺激条件や対照群でのデータの追加を検討しているところである。次年度については、これらのデータを増やし、さらなる解析をすすめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定したよりモデルラットの安定した作成ができておらず、また複数の計測系を同時に行なう必要が有ることから、母数の確保が難しいため予定に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、急性てんかんモデルラットにおいて脳表電極やレーザースペックル血流計を用いて、脳波・血流の測定・解析をすすめている。次年度は慢性刺激実験を行ったモデルラットを用いて、脳血流・代謝の変化をPET装置などを用いて測定し、現在測定しているリアルタイムのデータとの関係を解析していくとともに、難治性てんかんにおける全般発作に対して効果的な迷走神経刺激の条件や、治療ターゲットの探索につなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の若干の遅れがあり、次年度に追加の実験を行う必要があるため、次年度使用分を残すこととした。次年度使用分は実験動物の購入費に充てる予定である。
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