研究課題/領域番号 |
16K10789
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
浜崎 禎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (60433033)
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研究分担者 |
山田 和慶 熊本大学, 病院, 特任教授 (00398215)
藤原 幸一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10642514)
長谷川 雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (40599114)
山川 俊貴 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (60510419)
中川 隆志 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80773358) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | autonomic nervous system / brain stem / heart rate variability |
研究実績の概要 |
手術videoと自律神経活動の指標となる心拍変動 (HRV)を同時記録するシステムを構築し、脳幹周辺を術野とする後頭蓋窩手術20例について以下の解析を行った。 【解析1】手術操作-自律神経活動の変化-循環変動の関連性 完全静脈麻酔下で麻酔薬投与量の変更がなく、循環作動薬の投与なく、5分間で収縮期血圧が20mmHg以上上昇した区間を高血圧区間と定義した。全手術の麻酔表をreviewし、19の高血圧区間が同定された。同区間におけるHRV解析の結果は、LF(自律神経全体の活動の指標)の有意な上昇、HF(副交感神経活動の指標)の低下、LF/HF(副交感神経に対する交感神経活動の指標)の上昇であり、高血圧区間における交感神経活動の上昇があることが示された。高血圧区間5分間における主な手術操作部位を、8つに分類し、高血圧区間の直前5分間をcontrolとして比較したところ、手術操作部位に統計学的有意差は得られなかった。 【解析2】脳幹表面の持続電気刺激が自律神経活動にもたらす影響 より限局した手術操作を解析の対象とするために、聴神経腫瘍の摘出術における顔面神経機能モニタリングを目的としたroot exit zone(REZ)の持続電気刺激区間を抽出した。顔面神経REZは、動物実験でその存在を知られている血管運動中枢rostral ventro-lateral medulla(RVLM)に近く、この2つはどちらも外側橋延髄移行部近傍に位置している。HRV解析の結果は、高血圧区間と同じく、LFの上昇、HFの低下、LF/HFの上昇であり、交感神経の活動上昇を示していた。また、この電気刺激区間では、統計学的有意の標準化血圧の上昇と頻脈が認められた。この結果は、ヒトの外側橋延髄移行部近傍に、電気刺激で活動上昇し、体循環に影響を及ぼし得る交感神経中枢が存在する生理学的証拠と考えられる。
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