てんかん発作は大脳灰白質の神経細胞の突発性過剰放電に由来するが、ここで発生した異常放電は、脳内のネットワークを介して伝播し、様々な発作症候を出現させることとなる。脳内は皮質、皮質下繊維を介した複雑なネットワークを形成しており、てんかん発作波の伝播には、生理的なネットワークのほかに、てんかん原性によって形成された異常なネットワークも含むと考えられているため、より病態の解明を困難なものとしている。本研究では、発作焦点を電気刺激することで得られる特異的な所見、もしくは、発作波の伝播に関わるネットワークの検索を行うことを目的として発作焦点の皮質刺激を行いながら、皮質‐皮質間誘発電位記録を行った。現在のところ、33症例につき記録を行い、誘発電位の振幅と発作の伝播時間の関係、発作間欠期棘波の分布と発作焦点からのネットワークの位置関係につき解析中である。また、本研究に関連し、皮質電気刺激による脳機能マッピングと皮質‐皮質間誘発電位記録の手法を応用し、frontal aslant tractや側頭葉底部言語野、聴覚のネットワーク、機能野の分布などの機能的なネットワークについても解明を行い、さらに皮質-皮質間誘発電位の麻酔の影響や電気刺激によって誘発されるafterdischargeの分布についても解析し、学会と論文の発表を行った。現在、Diffusion tensor imageなどの機能画像と皮質‐皮質間誘発電位記録との相関についても解析を行っている。
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