研究課題/領域番号 |
16K10798
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
上野 育子 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20468317)
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研究分担者 |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳酸素摂取率 / 高磁場MRI / 血行力学的脳虚血 / 磁化率イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では高磁場MRIを用いて、独自開発の高分解能磁化率イメージングと画像処理技術を併用し、MRIによる高精度で無侵襲な脳酸素摂取率(OEF)計測法の開発を目指すものである。平成29年度は、7テスラMRIの定量的磁化率画像(QSM)に対して、前年度に取り組んだ解析手法(ガウシアンハイパスフィルターによる静脈抽出、及びガウシアンローパスフィルターによるOEF計算に影響を与える出血や硬膜静脈洞などの太い血管領域の除去)を適用した結果を国際誌に掲載した(Uwano I, et al. Stroke 48(8):2136-2141, 2017)。内容としては、慢性期の片側性主幹動脈狭窄または閉塞患者39名を対象とし、本手法によるQSM-OEFとゴールドスタンダードであるPETのOEFと比較し精度評価を行った。結果として、QSM-OEFとPET-OEFの患側/健側比における相関係数は0.69と高く、PET-OEF上昇群(11名)のうちQSM-OEF上昇となったのは9名、PET-OEF正常群(28名)のうちQSM-OEFが正常であったのは24名であり、感度0.82、特異度0.86となった。このことから、本手法はMRIによる無侵襲なOEF計測法として有望と考えられた。また、本手法を3テスラMRIの慢性期片側性主幹動脈狭窄・閉塞患者27例に対して適用したところ、QSM-OEFとPET-OEFの患側/健側比の相関係数が0.71となった。このことから、本手法が7テスラMRIだけでなく3テスラMRIにも適用可能であり、血行力学的脳虚血の重症度判定に使用可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は、以下の通りであり、当初の計画通りに進んでいる。 (1)血行力学的脳虚血患者を対象とした7テスラMRIの撮像が予定通りに進んでいる。(2)7テスラMRIのQSM-OEFとPET-OEFとの精度比較を行い、その成果を国際誌にて発表した。(3)3テスラMRIでも検証し、その成果を国内学会にて発表し、国際誌への投稿準備を進めている。(4)さらなる最適撮像条件を検討するために、異なる画像分解能のデータ取得も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
画像分解能の違いによってQSM-OEFの結果に違いが出る可能性があるため、その検証を行う予定である。また、これまではPETのOEF画像と精度比較を行っていたが、アセタゾラミド負荷SPECT画像とも比較検証し、本研究手法の優位性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文に係る費用が日本円でいくらになるか不確定だったため、余分に確保していた分が次年度使用額として生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、学会発表に係る費用として使用予定。
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