研究実績の概要 |
平成28年度には厚さ1.5mmのメッシュプレートに直径2, 3mmのメッシュ孔を穿ち、ビーグル犬3頭(成犬)の頭頂骨、腸骨に合計12個のメッシュ孔(2, 3mm)付チタンプレートを装着した。装着直後、1,2,3か月時にCTを撮影し、3か月時にチタンプレートを骨ごと摘出し、視診・高解像度CT・触診・走査電顕によりメッシュ孔内の骨再生を評価した。移植したすべてインプラントで明らかな骨再生を認めたが、グレード3以上の旺盛な骨再生を認めたのは頭頂骨の2mmメッシュ孔で10%、3mmメッシュ孔で43%、腸骨の2mmメッシュ孔で82%、3mmメッシュ孔で80%であった。走査電顕でメッシュ孔を通過した明らかなトラベクラーボーンが観察された。統計学的検討では2mmメッシュより3mmメッシュで、頭頂骨より腸骨で、それぞれ骨再生が有意に良好であった。これらの結果をもとに平成29年度にCT画像から作成したテーラーメイド脊椎カバ-(厚さ1.5mm)を作成し、1.5mm、2.0mmのメッシュ孔を穿ち、ビーグル犬3頭に装着した。1,2,3か月時にCTを撮影し、3か月時にチタンプレートを骨ごと摘出し、視診・高解像度CT・触診・走査電顕によりメッシュ孔内の骨再生を評価した。その結果、移植したすべてインプラントで明らかな骨再生を認めたが、2.0mmメッシュ孔の群でより旺盛な再生が観察された。平成30年度には直径1.5, 2.0, 3.0mmメッシュ孔を穿った64チタン板(厚さ1.5mm)を人工体液中に37度で1週間浸漬し、骨誘導能を比較した。それぞれの条件でチタン板上に少量の結晶が観察され、これらの結晶はX線回折によりハイドロキシアパタイトと同定された。しかし、3群間での有意な差はみられず、平成28-29年度でみられた生体内での骨再生能をin vitroで再現することは困難であると考えられた。
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