研究課題
背景:IL-1は、転写因子AP-1を介して椎間板を分解するMMP3,MMP13やADAMTS4,5の発現を上昇させるため、椎間板を分解する。それを抑制する因子として、我々の研究協力者が作成した低分子化合物であるAP-1阻害剤を用いて、in vitroおよびin vivoの系で椎間板変性抑制を試みた。このAP-1候補薬(T5224)はヒトへの投与も可能であり、研究協力者である九州大学別府病院の塩澤俊一教授より既に供与されている(Nature Biotech 26;817, 2008)。目的:臨床応用を目指してこの候補薬(AP-1阻害剤)をラットに経口投与させ、椎間板穿刺モデルを用いて、椎間板変性抑制が実際に可能かどうかを検討することである。方法:ラット12匹の尾椎に針を刺し、椎間板穿刺モデルを作成する。AP-1阻害薬(T5224)をラットに経口投与し、実際に椎間板変性が起きるかどうかを単純X線, MRI, Safranin-O 染色で偽薬経口投与群と比較して組織学的に比較検討を行った。結果:X線像では、4週投与ラットにおいて2群間に差を認めなかったが、8週投与ラットにおいてはT5224投与群のほうがプラセボ群に比べて椎間板高減少が有意に抑制された。MRI T2mappingにおいて、4週投与では、貫通で差を認めず、半分穿刺でプラセボ群に比べT5224群では有意にT2値が高かった。また8週投与では、半分穿刺、貫通のどちらも偽薬群に比べT5224群で有意にT2値が高かった。Safranin-O 染色では、有意にT5224群で椎間板の変性抑制効果が認められた。考察:今回の結果からAP-1 阻害剤は非常に有用であると考えられる。今後結果の再現性の確認および椎間板変性抑制効果が、疼痛を改善できるかを検討予定である。
2: おおむね順調に進展している
T5224の椎間板の変性抑制効果を確認することができたため。
H28年度に確認できたT5224の椎間板変性抑制効果の再現性確認作業および、髄核細胞の遺伝子発現パターンを解析し、髄核細胞の起源を同定する実験を中心に行う。
研究室で既に所有している消耗品の在庫で、大部分の実験が可能であったため、予定より少ない支出となった。
H29年度予定しているT5224の椎間板変性抑制効果の再現実験に使用したいと考えている。
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