研究課題/領域番号 |
16K10820
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
永島 英樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (00271049)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腰痛 / 椎間関節 / 腰椎 / MRI |
研究実績の概要 |
1) MRI T2 mapping法を用いた腰椎椎間関節の評価に関する研究のうち、T2値の加齢に伴う経年的変化の研究は終了し、日本整形外科学会基礎学術集会と日本腰痛学会で発表した。国際学会にも演題を応募し、現在英語論文を作成中である。T2値と腰痛との相関に関する研究は、現在詳細なプロトコールを作成中である。前述したT2値の加齢に伴う経年的変化の研究について以下に報告する。
方法)腰椎疾患の既往のない20~70歳代の男女(各年代10例ずつ)を対象とした。評価する椎間高位はL4/5とし、3.0テスラMRIを用いて腰椎水平断像を撮像し、これにより作成したT2 map像を用いて、L4/5両側椎間関節のT2値(ms)を計測した。得られた値を用い、年齢とT2値の関連を調査した。 結果)椎間関節の右と左の平均T2値は、20歳代がそれぞれ85.9 ms、86.3 ms、30歳代がそれぞれ89.0 ms、74.8 ms、40歳代がそれぞれ98.6 ms、91.8 ms、50歳代がそれぞれ106.2 ms、93.6 ms、60歳代がそれぞれ99.6 ms、107.5 ms、70歳代がそれぞれ109.6 ms、108.2 msであった。年齢と椎間関節のT2値の間には正の相関(相関係数:右0.432、左0.548)を認めた。健常者腰椎椎間関節のT2値は、加齢に伴って高い値を示すようになり、加齢に伴う組織変性を反映したものと推察した。
2) 椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、椎間関節の関節液がサイトカイン計測に必要な量ほど経皮的に採取することが難しいと判明したため、手術中に採取するなど他の方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つの研究の1つであるT2値の加齢に伴う経年的変化の研究は終了して現在英語論文を作成している。T2値と腰痛との相関に関する研究は、前述したT2値の加齢に伴う経年的変化の研究の結果を踏まえて、現在詳細なプロトコールを作成中である。椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、椎間関節の関節液がサイトカイン計測に必要な量ほど経皮的に採取することが難しいと判明したため、手術中に採取するなど他の方法を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関 本施設を受診した腰痛患者のうち本研究への参加を同意した症例を対象として、MRI T2mapping法を行い、椎間板の前方線維輪、後方線維輪、髄核と左右の椎間関節にROIを設定して、T2値を計測する。腰椎前後屈側面エックス線写真で、椎間の不安定性を評価する。腰痛、臀部痛、大腿後面痛をNRSで評価し、前屈、後屈、側屈、回旋でこれらの痛みが増強するかどうかを記録する。全症例に対して局所麻酔薬を椎間関節に注入し、それにより腰痛、臀部痛、大腿後面痛が軽減したかどうかをNRSで評価する。また、日常生活の障害程度を、日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOABPEQ)で評価する。統計ソフトIBM SPSS Statistics Baseを用いて椎間関節注射による効果、日常生活の機能障害とT2値との相関について統計学的検討を行う。症例数は、平成29年度~平成30年度の2年間に70例を目標にする。 2)椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、椎間関節の関節液がサイトカイン計測に必要な量ほど経皮的に採取することが難しいと判明したため、手術中に採取するなど他の方法を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記のように経皮的に採取できる関節液ではサイトカイン計測に必要なほどの量を確保できなかった。従ってサイトカイン計測に700,000円を計上していたが、使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、研究方法の修正を検討中である。サイトカイン計測がずれ込むことになったが、今後計測する予定である。
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