研究課題/領域番号 |
16K10820
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
永島 英樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (00271049)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 腰痛 / 椎間関節 / 腰椎 / MRI |
研究実績の概要 |
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の経年的変化に関する研究は、すでに終了した(結果の詳細については昨年度の実施状況報告書で報告済み)。すでに、英語論文を作成して投稿済みである。現在、その結果を待っている。
2)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究は、平成29年度中に鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得た。平成29年度中に研究を開始して、現在も進行中である。
3)椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、椎間関節の関節液中に含まれるサイトカインの濃度と椎間関節性腰痛の程度の相関関係を評価しようと計画していた。ところが、日常診療の治療として行っている椎間関節ブロックの一環として関節液の穿刺・排液を行っているが、その結果、サイトカインの計測に必要な量を採取できる症例はかなり少ないことが判明した。従って、統計学的処理のために十分な症例数を研究期間中に集めることは極めて困難であると判断し、本研究を断念せざるを得なかった。そこで、改めて椎間関節性腰痛に関する研究内容・方法を吟味・検討して、「椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析」の研究を行うことにした(詳細は「今後の研究の推進方策」の項に記述)。この研究について研究計画書を作成して、鳥取大学医学部倫理審査委員会に提出済みである。倫理審査委員会の審査は終わったと聞いており、現在審査結果を待っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の経年的変化に関する研究は、順調に終了し、英語論文にまとめて投稿した。
2)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究は、平成29年度に改正された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」により倫理委員会の手続きに時間を要したが、平成29年度中に承認されたので現在研究を進行中である。
3)椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、「研究実績の概要」で述べたように、サイトカイン計測に必要な量の関節液を採取できる症例がかなり限られることが判明したため、改めて「椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析」を行うことにした。この研究を行う上で、まずは文献検索やその内容の精査などを行ってから、研究計画を作成したので、進捗が遅れることになった。現在、倫理審査委員会からの審査結果待ちである。
|
今後の研究の推進方策 |
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究 腰痛のために来院した患者に対して、通常の診察とX線写真を撮影し、その結果椎間関節性腰痛と診断した患者に対して、本研究の説明を行う。同意した患者に対して、MRIを撮像した後、L4/5椎間関節ブロックを行って、ブロック後のNRSを確認する。また撮像したMRIからT2 mappingを作成し、L4/5椎間関節を水平断画像上でマーキングし、椎間関節のT2値を計測する。日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOABPEQ) 、Numerical rating scale (NRS)、Oswestry disability index (ODI)を用い評価し、椎間関節のT2値との相関を評価する。また、椎間関節ブロック後の腰痛改善度とT2値との相関も評価する。
2)椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析 腰椎手術を行う20歳以上の男女のうち、手術手技で椎間関節を切除または削る必要がある患者を対象とする。脊椎手術では、必要な手技として椎間関節を切除またはデコルチケーション(一部を削る処置)をすることがある。この処置の際に椎間関節を切除するため、この残検体を保存する。また通常診療で採取した血液、尿、髄液の残検体を保存する。これらの検体のmicroRNA解析を行い集計する。採取した椎間関節組織(軟骨、骨、軟部組織など)から抽出したmicroRNAの解析と、microRNA値と腰痛VAS(Visual analogue scale)、NRS、腰椎X線写真での椎間関節の変性の程度、腰椎MRIでの椎間関節の変性の程度との相関を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)「MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究」は、前述したように鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得るまでに時間がかかり、計画していた研究費をまだ十分使用できていない。また、「椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究」では、サイトカインの計測に必要な関節液の量を椎間関節ブロックの際に十分採取できる症例はかなり少ないことが判明した。従って、統計学的処理のために十分な症例数を研究期間中に集めることは極めて困難であると判断し、本研究を断念し、「椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析」を行うことにした。現在倫理審査委員会の審査結果を待っている状態で、研究をまだ開始できていない。
(使用計画)次年度(平成30年度)に、microRNAの解析などを行う予定である。
|