研究課題/領域番号 |
16K10820
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
永島 英樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (00271049)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腰痛 / 椎間関節 / 腰椎 / MRI |
研究実績の概要 |
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の経年的変化に関する研究は、すでに終了し(結果の詳細については2016年度の実施状況報告書で報告済み)、Journal of Orthopaedic Scienceにacceptされた(in press)。 2)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究は、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得たのち開始した。目標組み入れ数は60例を計画しているが、2019年3月22日現在、同意取得例数は36例で、そのうち1例が中止となったために実施例数は35例である。 3)椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、サイトカインの計測に必要な量を採取できる症例はかなり少ないことが判明したため、「椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析」の研究に変更した。倫理委員会の承認を受けた後に対象患者のサンプル採取を開始した。関節包は関節症性変化が強い症例であっても採取が可能であるが、軟骨は関節症性変化が強いと採取困難であることが多く、症例によっては採取できていない。2018年9月に予備実験として6サンプル(軟骨2サンプル、関節包4サンプル)を用いてmicroRNAの抽出および定量を行った結果、ばらつきはあるが6サンプルすべてからmicroRNAを抽出することができた。2018年10月に先行研究を行っているToront Western Hospital(カナダ・トロント)を訪問し、保存している椎間関節の組織の切り出し方法や保存方法を見学した。2019年1月予備実験として、先行研究で関節との関連が報告されているmicroRNA(has-miR-146a、has-miR-181a、has-miR-23a)のPCRを行った。6サンプルすべてにおいて3種類のmicroRNAが検出できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の経年的変化に関する研究は、順調に終了した。英語論文にまとめて投稿して、Journal of Orthopaedic Scienceにacceptされた(in press) 。
2)MRI T2 mapping法による椎間関節軟骨の腰痛との相関に関する研究は、今年度で研究を終了する予定であるが、英語論文の投稿とアクセプトにはもう少しかかると見込んでいる。
3)椎間関節の関節液の生化学的解析と椎間関節性腰痛との相関に関する研究は、「研究実績の概要」で述べたように、サイトカイン計測に必要な量の関節液を 採取できる症例がかなり限られることが判明したため、改めて「椎間関節の変性に関わるmicroRNAの解析」を行うことにした。そのため、倫理委員会の承認を得るのに時間を要し、2018年5月29日からサンプル採取を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
研究1)すでに終了した。 研究2)今年度で終了し、英語論文の作成に取りかかる予定である。 研究3)2018年5月29日~2019年3月31日に25例でサンプルを採取した。microRNAの網羅的解析には先行研究ではマイクロアレイを用いているものが多いが、網羅的解析としての精度や信頼性を考て次世代シークエンサー(Next Generation Sequencing:NGS)を利用する予定である。2019年度中に、20サンプル~30サンプルのNGSを行い、関節症性変化の大きいものと小さいもので比較検討して、変形性関節症で特異的なmicroRNAを同定する。さらにPCRを用いてNGSで同定したmicroRNAの追加解析を行う予定である。NGSには200万~250万円程度(1サンプルあたり8~10万円、20~24サンプル)かかる見込みで、PCR解析では50サンプル以上を5種類以上のプライマーを用いて行う予定であり、プライマーとPCRの試薬などの費用に30~50万円程度かかる見込みである。今年度で研究を終了して、英語論文作成にとりかかる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究3)の進捗状況に遅れが生じたために、試料の計測を行えず今年度の使用額が少なくなった。2019年度に、この試料の計測を行う予定である。NGSの費用としては200万~250万円程度、PCR解析のプライマーと試薬などの費用に30~50万円程度かかる見込みである。
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