研究実績の概要 |
腰部脊柱管狭窄症の主因の一つとして、黄色靭帯肥厚が挙げられている。これまでの報告より、肥厚した靭帯では炎症やTGF-βなどの線維化に関わるシグナルが活性化していることが分かっている。本研究では、コラーゲンの折りたたみに非常に重要な小胞体に着目し研究を行っている。 若年者の肥厚していない靭帯と高齢者の肥厚している靭帯の4検体ずつでマイクロアレイ解析を行った。高齢者では、TGFβのシグナルとともに、小胞体ストレス応答も強く活性化していた。さらに、102検体を用いたRT-qPCRでは,肥厚した靭帯では,線維化(COl1A-2, COl14, FN, HSP47)・小胞体ストレスマーカー(ATF6, GRP78, IRE1, SEL1, PERK, ERO1)が優位に増加していた。またWestern blottingによる、タンパクレベルでの解析でも、GRP78やGRP94といった小胞体ストレス応答で代表的なタンパクも増加していた。 qPCRでの発現量を線維化マーカーと小胞体ストレスマーカーの相関を検討したところ,GRP78はCOL1A-2(r=0.64, p≦0.001)とGRP94はCOL14との相関(r=0.62, p≦0.001)を認めていた。 黄色靭帯肥厚は小胞体ストレス応答と強く相関していることが明らかになった。
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