研究課題/領域番号 |
16K10827
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森野 忠夫 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20380248)
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研究分担者 |
尾形 直則 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (30291503)
日野 雅之 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (40789137)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肋間神経移行術 / 脊髄損傷 / 行動学的検討 / ラット |
研究実績の概要 |
初年度は、ラット部分脊損モデル(contusion)と完全脊損(切断)モデルを用いて、肋間神経移行術を行い、基礎となる実験系を確立する計画だった。肋間神経移行術を行った脊損モデルでの、行動学についての報告は無く、肋間神経移行術の脊損に対する効果及びメカニズムを明らかにする上で、モデルの確立は重要である。 本年度は、不完全脊損モデルの行動学について、肋間神経移行術群とvehicle群で比較検討を行い、肋間神経モデルではvehicle群に比べて損傷後3週目から有意な後枝運動機能の回復が認められることが確認できた。しかしながら、完全脊損モデルでは、その侵襲が強いためかほとんどのモデルで術後一週以内にラットが死亡してしまい、長期観察モデルとしてふさわしくないことが分かった。原因として、膀胱直腸機能の障害が起こるため、毎日徒手的に排尿を行って抗生剤を投与しても感染で死亡すると考えられた。現在は、脊髄半切モデルに切り替えて研究を行っているところである。脊髄半切モデルでは、膀胱機能は保たれており感染は起こりにくく、死亡例は少ないが、きちんと半切できているかの確認が難しく、モデルにばらつきが出ている。今後、定量的な半切の方法を見つける必要がある。 モデルの確立が一年目の目標であるが、モデル変更のために少し遅れが出ている。しかし、研究目標の遂行には変更無く研究が進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
完全脊髄損傷の実験モデルとして、脊髄全切断モデルを採用していたが、感染による一週間以内の死亡率が高く、感染予防を試行錯誤する必要があったため、実験計画にやや遅れが出ている。 現在は、脊髄半切モデルを用いて実験系を修正して、モデルの確立を行っている。 上記理由により、モデルの確立としての研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
脊髄半切モデルでは、術後の生存率も高く、切断側の後枝の運動麻痺が認められる。同じ側に肋間神経移行を行うことにより、当初予定した肋間神経を介した運動神経の再構築モデルとして使用できると考えている。トレーサーを用いた実験を行うときには、改めて切断を行うことにより、トレーサーの非切断側側からのコンタミを防ぐことができる。 部分脊損モデル(contusion)はそのままで、完全切断モデルを半切モデルに修正して今後の実験を行うこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット脊髄完全切断のモデルが確立していれば、nを増やして行動学的データをとる予定であったが、試行錯誤したため、予定よりラット購入費が余った。
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次年度使用額の使用計画 |
脊髄半切モデルが確立したときに、行動学的検討をするために予定通り次年度使用の予算を使ってラットを購入する予定である。
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