研究課題/領域番号 |
16K10828
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
尾形 直則 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (30291503)
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研究分担者 |
森野 忠夫 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20380248)
堀内 秀樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60598762) [辞退]
日野 雅之 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (40789137)
見崎 浩 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (10808885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | neuropathic pain / spinal cord / exercise / gene expression |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛モデルを用いて、疼痛のシグナル入力部である脊髄後角浅層での遺伝子発現解析を網羅的に行い、神経障害性疼痛における運動療法による除痛のメカニズムを解明することを研究の目的とした。 6~8週齢の雌Wister ratを用いて神経因性疼痛モデルSpinal nerve ligation(SNL)modelを作製した。術後翌日よりtreadmillによる運動負荷を開始した。速度は10 m/minから開始し、一日10分、一日に1m/minずつ20m/minまで速度を増加させ、週に5回、術後最大6週まで行った。SNL modelに運動を負荷させた群をexercise群、運動を負荷しない群をcontrol群とした。 exercise群においては術後3週目以後でcontrol群に比較し、疼痛閾値の有意な改善がみられた。レーザーマイクロダイセクション法により脊髄後角浅層を切り出してRNA抽出を行ったサンプルで、疼痛に関与すると考えられる候補遺伝子としてRnf34とPacapに着目し、RT-PCRによって両群間の遺伝子発現変化を定量した。Rnf34 の発現は、術後3週目においてexercise群で有意な減少を認めた。Pacapの発現は、1週目でexercise群での発現量は有意に上昇したが、3週目では逆に有意に減少し、6週目においてもexercise 群で発現量は減少していた。 RNF34はGABAA受容体のγ2サブユニットの分解を促進してGABAの鎮痛作用を弱め、痛みを増強する。RNF34発現抑制は、痛みのシグナルを抑制するGABAの作用を増強し、鎮痛効果をもたらした可能性がある。またPACAPは、脊髄後角やDRGに存在し、神経障害モデルで発現上昇し、さらにPACAPの阻害剤が痛みを抑制することが報告されている。PACAPの抑制が運動負荷の鎮痛効果に関与した可能性が考えられた。
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