研究課題/領域番号 |
16K10835
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
木村 敦 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20364507)
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研究分担者 |
白石 康幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (50646338)
大森 司 自治医科大学, 医学部, 教授 (70382843)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 生理活性脂質 |
研究実績の概要 |
1.至適薬剤投与法の検討:S1P lyase阻害剤で入手可能な薬剤としては、2-acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazole (THI)と4’deoxypyridoxine (DOP) があり、これら2つの薬剤をそれぞれ1日1回胃ゾンデによる投与と飲料水を介した持続投与の2種類の方法で比較した。一定の濃度に達すると末梢血中のリンパ球数が減少するが、リンパ球減少の効果は持続投与よりも胃ゾンデによる間欠投与の効果が高いことがわかった。しかし、B細胞、T細胞がともに有意に減少する濃度では、好中球と総白血球数が増加し、特に脊髄損傷モデルではマウスが衰弱することが分かった。
2.脊髄損傷の治療効果に関する検討:S1P lyase阻害剤を、有意なリンパ球減少を指標とした濃度設定で投与すると、脊髄損傷マウスが衰弱して有意な機能回復が得られなかった。様々な薬剤濃度で比較を行った結果、THI、DOPともに30-50mg/L程度の濃度で飲料水を経由して持続投与する方法が最も安定しており、DOP投与マウスでは脊髄損傷後の機能回復が有意に促進されることが確認できた。現在S1P lyase阻害剤が脊髄損傷後の機能回復に影響を与えるメカニズムを検討しており、損傷後24時間の組織における血管透過性とRNAの発現パターンの変化に関して検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
至適薬剤濃度の設定に時間がかかり、メカニズムの解明が予定よりもやや遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は機能回復促進のメカニズム解明を中心に研究を推進する予定である。具体的には、S1P lyase阻害が損傷脊髄におけるS1P濃度、血管透過性、炎症性サイトカインの発現パターン、炎症性細胞の浸潤、アポトーシスなどに与える影響を明らかにしたい。
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