研究課題
1) 生体におけるペリサイトの可視化:NG2発現細胞でCreリコンビナーゼ遺伝子を発現するNG2-CreマウスとtdTomatoレポーターマウスを交配させ、ペリサイトもしくはペリサイト由来細胞特異的にtdTomatoを発現させたマウス(NG2-Cre; Rosa-tdTomatoマウス)を作成した。このペリサイト可視化マウスから各組織を採取して凍結切片を作成し、各組織におけるtdTomato陽性細胞の分布を検討し、目的とする細胞が標識されていることを確認した。2) マウス肉腫形成におけるペリサイトから発生した肉腫細胞の意義の解明:p53欠損マウスは様々な肉腫を形成することから、1)で作成したペリサイト可視化マウスとp53欠損マウスを交配させることで、ペリサイト可視化マウスに肉腫形成を誘導した。形成された肉腫における蛍光タンパク質の発現を組織学的に検討したところ、腫瘍を構成する細胞の大半が蛍光タンパク質を発現しており、ペリサイトが肉腫の起源である可能性が示唆された。3) 種々のペリサイト特異的発癌変異誘導マウスの作成と肉腫形成の検証:ペリサイト特異的に癌抑制遺伝子(p53、Rb1)を欠損させたマウス(NG2-Cre; p53flox/floxマウスもしくはNG2-Cre; pRbflox/floxマウス)を作成した。すでに一部のマウスで腫瘍の発症が認められ、現在、腫瘍の種類や局在、遺伝子発現などを検討中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りおおむね順調に研究は進行している。
1) p53欠損マウスもしくはペリサイト特異的発癌変異誘導マウスに形成された腫瘍の解析については、平成29年度以降も継続して実施する。2) In vitroでのペリサイト悪性化の検証:不死化したペリサイト細胞株への癌原遺伝子の導入、もしくはCRISPR/Cas9ゲノム編集システムによる癌抑制遺伝子の不活化により、ペリサイトの悪性化をin vitroでも検証する。発癌変異を誘導したペリサイトの形態、分化能、増殖能を検討するとともに、この細胞を免疫不全マウスの皮下に移植し、肉腫形成能も検討する。3) ペリサイトの悪性化に伴う遺伝子発現プロファイルの変化の検討:悪性化前後のペリサイトの遺伝子発現プロファイルを、網羅的トランスクリプトーム解析にて比較検討する。この解析から得られたデータに基づいて、付加的な遺伝子変異を予測するとともに、悪性化に伴い活性化されるシグナル伝達経路を同定する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 6件)
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