本邦では2012年より,軟部肉腫に対してパゾパニブの使用が承認されが,残念ながら既存の抗癌剤を上回る効果は得られていない.GSK3βは,グリコーゲン合成酵素をリン酸化して不活性化させる酵素である.本研究では,軟部肉腫の主要病型である滑膜肉腫と線維肉腫に対するGSK3β阻害剤の治療効果と作用機序を検討し,腫瘍の生存,増殖,浸潤にGSK3βが大きく関連していることを明らかとした.GSK3β活性阻害作用を有する薬剤は,既に実臨床で使用されており,新たな軟部肉腫の分子標的治療薬になる可能性がある.本研究で得られた成果は,新たな軟部肉腫治療薬の開発に大きく寄与する,社会的意義の高い研究成果だといえる.
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