研究課題/領域番号 |
16K10852
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 博之 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (40204490)
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研究分担者 |
中村 幸男 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (00549488)
林 正徳 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20624703)
岩崎 倫政 北海道大学, 医学研究科, 教授 (30322803)
小松 雅俊 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (60723070)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 先天性橈尺骨癒合症 / 全エクソン解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は先天性橈尺骨癒合症孤発例に対して全エクソン解析を行い原因遺伝子を同定することと、そこで見つかった遺伝子変異をゼブラフィッシュを用いて機能解析することである。 これまで、12家系から採血を行い、そのうち4家系の全エクソン解析を行い、8つの遺伝子に頻度1%以下の変位が発見された。そのうち1つの候補遺伝子である遺伝子Aの生体内における発現部位、組織は不明であったのでゼブラフィッシュで検討した。 はじめに、生後数時間、1日、2日の稚魚を用いて、whole-mount in situ hybridizationを行い、mRNAの発現解析を行った。結果、脳、眼、胸ひれの一部に同遺伝子の発現を認めた。以上より、遺伝子Aはこれら発現部位において何らかの機能を発揮していると予想された。 次に、遺伝子特異的ノックダウンオリゴを新規に3つ作製し、ゼブラフィッシュ胚を用いて、ノックダウンを行った。結果、大きな表現型を認めなかった。そこで、遺伝子Aの全長遺伝子をクローニングし、CMVプロモーターを有するpCS2+ベクターに組み込み、遺伝子Aの過剰発現を行った。結果、背側化促進現象を認めた。従って骨形成タンパク質であるBMPシグナルを制御している遺伝子という仮説を立て、検証を行った。次にbmp2bを過剰発現し(腹側化促進現象)、遺伝子Aと共に共発現を行った。結果、bmp2b過剰発現に伴う腹側化促進現象が遺伝子A過剰発現に伴う背側化促進現象がレスキューできた。以上より、遺伝子AがBMPシグナルを制御している可能性が示唆された。 次年度は、遺伝子Aノックアウトゼブラフィッシュを作成し、上記の詳細を検討予定である。またヒト橈尺骨癒合症に相当する器官であるゼブラフィッシュの胸鰭に特に着目し検証予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子Aに対して、ゼブラフィッシュの全長遺伝子をクローニングを行い、発現ベクターであるpCS2+ベクターに組み入れた。また遺伝子A特異的なノックダウンアンチセンスオリゴであるモルフォリノを3つ作成しノックダウンを行った。結果、全長遺伝子の過剰発現において骨形成タンパク質であるBMPを制御しているという予備的データを得ている。一方でノックダウンにおいては明らかな表現型を認めていない。
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今後の研究の推進方策 |
上記11.知見により、遺伝子Aが過剰発現状態においてBMPを制御している点の再現性を確認したい。また遺伝子Aのノックダウンオリゴでは明らかな表現型を認めなかったが、今後Crispr/Cas9システムを導入しノックアウトゼブラフィッシュを作成する。ノックアウトではヒト橈尺骨に相当する胸鰭に表現型をみとめると強く期待する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実験のうち、ノックアウト条件での実験が行えなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせてノックアウト条件での実験の実施に使用するとともに、ノックアウト実験及び得られた成果の学会発表、論文発表に使用する計画である。
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