研究実績の概要 |
in vitroにおける腫瘍微小環境変化と各種抗がん剤、分子標的治療薬の取り込みを検討した。主な腫瘍微小環境である低酸素、酸性、高静水圧、低栄養環境を、我々の開発したin vitro-in vivo微小環境コントロールシステムで、in vitro下に意図的に変化させ、骨肉腫細胞株の培養を行い、その培養環境が各種薬剤の取り込みにどう影響するかを確認した。 MG63,U2OS,SaOS2,143B、HOS、HuO9各種骨肉腫細胞株を培養したが、低酸素、高静水圧、酸性および低栄養の複合環境下では、いずれの細胞株の培養も、細胞周期が停止し、壊死までは至らないものの、増殖しなかった。そこで、低栄養環境を除き、低酸素、酸性、および高静水圧で培養を行った。MG63については、酸性に強いものの、増殖曲線は低下し、HOS、HuO9については、酸性、低酸素下でも増殖促進を示した。 in vitro再現腫瘍特異的微小環境下における腫瘍調整因子併用抗腫瘍効果の検討について、先に細胞増殖が確認された、SaOS2、143B、HOS、HuO9について、腫瘍調節因子として有効なCA9のinhibitorを用いて、腫瘍増殖曲線およびCA9の発現を確認した。 CA9は、いずれの細胞株でも低酸素にてWestern blot法で、高発現していることを確認。MG63においては低酸素下でも増強発現した。20%通常酸素下で、各細胞株を培養し、CA9阻害剤を各濃度で投与したが、低酸素下でも増殖が見られたHOS、HuO9については、通常酸素下でもCA9阻害座事態で抗腫瘍効果を認めた。1%低酸素下では、いずれの細胞株も、CA9阻害剤で、歳増増殖抑制を認めたが、細胞全体の増殖曲線が、通常酸素化よりも低下するため、抑制率としては、通常酸素下よりやや抑制されない結果となった。
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