研究課題/領域番号 |
16K10855
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松原 孝夫 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30422827)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腫瘍微小環境 / Carbonic anhydrase 9 / アクリジンオレンジ / 低酸素 / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
前年度の研究で同定したCA9について、AOと併用することでの抗腫瘍効果を検討した。 主な腫瘍微小環境である低酸素、酸性、高静水圧、低栄養環境を、我々の開発したin vitro-in vivo微小環境コントロールシステムで、in vitro下に意図的に変化させ、骨肉腫細胞株の培養を行い、その培養環境が各種薬剤の取り込みにどう影響するかを確認した結果、腫瘍調節因子として有効なCA9阻害剤を上回る抗腫瘍効果を及ぼすinhibitorはなく、CA9阻害剤とAOを併用することでの抗腫瘍効果を検討した。 CA9は、いずれの細胞株でも低酸素にてWestern blot法で、高発現していることを確認できるが、CA9は、膜表面タンパクで、細胞内への移行が困難であり、CA9とAOを併用して使用した実験と、CA9阻害剤に創薬でAOを結合した新薬(CA9AO)を発注し、それを用いて、抗腫瘍効果を検討する実験を計画した。MG63においてCA9阻害剤を各濃度で、各酸素濃度で投与、培養後AOを投与。放射線の代わりにまず光線を照射して、CA9阻害剤非投与群と比較した。 CA9投与後、AOを投与した群では、低酸素環境下において、非投与群と比べ、AO殺細胞効果は軽度上昇していたが、通常酸素下では、CA9阻害剤の相乗効果は、認められなかった。MG63以外の細胞株ではCA9阻害剤自体に、軽度の腫瘍増殖抑制効果が見られるため、MG63で、CA9阻害剤にAOをラベルした新薬(CA9AO)を用いて、まずは、細胞内集積を蛍光で確認した。 しかし、酸素下および低酸素下でも、AOの蛍光集積は、AO単体に比べ非常に少なく、CA9阻害剤は、CA9に特異的ではあるが、その構造のために、細胞膜表面ないし、細胞内に集積することが困難であると予想された。AOより分子量が大きくなるため、細胞内への集積が阻害された可能性もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
創薬により、新しい薬剤への抗腫瘍効果が期待されたが、分子量と3次元構造の不具合により、目的の部位に集積させることができず、計画よりやや遅れてしまう結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
創薬により新薬を作成したが、単体での使用のほうが抗腫瘍効果が期待できるため、新薬を重ねて研究するとともに、CA9阻害剤とAO併用によるin vivoでの抗腫瘍効果を検討する方針とした。
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