近年、老化の原因として糖化ストレスと酸化ストレスが注目されており、様々な研究が進む中で糖尿病や高脂血症などの生活習慣病と骨粗鬆症を中心とする骨代謝異常にも関連があることが分かってきている。そこで今回我々は、非外傷性に起こる高齢者の肩腱板断裂と酸化・糖化ストレスの関係性を究明し、糖化ストレスにより産生されるを糖化最終生成物(Advanced Glycation End products; AGEs)と酸化ストレスの主因である活性酸素(Reactive Oxygen Species; ROS)を抑制することにより、加齢によると考えられる非外傷性の肩腱板断裂に対する予防的治療開発の可能性を探る。 AGEs/ROS発現増強/抑制モデルとして、糖尿病ラットにおいてAGEs沈着およびROS発現が増加することは既に報告されているので、SDラットにストレプトゾトシン30mg/kgを単回投与して糖尿病ラットモデルを作成し、1か月後において肩腱板組織へのAGEs沈着増加を確認された。AGEs/ROS発現抑制モデルとしては、12か月齢もしくは24か月齢のSDラットにインスリンを3日おきに5週間投与し、反復性低血糖ラットモデルを作成し、同年齢の通常ラットと比べて、AGEs沈着量、ROS発現量ともに有意な発現低下は認められなかった。 そこで、AGEs/ROS発現増強モデルの糖尿病ラットに対して、アキレス腱にコラゲナーゼを腱内注射し、急性腱炎モデルを作成した。抗酸化薬として「アポシニン」を隔日で腹腔内投与し、4週時にreal-time PCRでNOX、TNF-α、IL-6の遺伝子発現量を評価したところ、NOX、TNF-α、IL-6の遺伝子発現量はいずれもアポシニン投与群で有意に低下していた。
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