研究課題/領域番号 |
16K10861
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
尾崎 充彦 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40325006)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | miR-143 / イヌ骨肉腫 / 肺転移 |
研究実績の概要 |
本研究は、miR-143核酸医薬による骨肉腫肺転移予防効果を骨肉腫罹患犬を対象に実施する基盤を構築することを目的としている。H29年度は、前年度に構築したルシフェラーゼ導入イヌ骨肉腫細胞株(POS-luc)を用いて、自然肺転移モデルを構築し、miR-143投与による肺転移抑制効果を検証した。1x10^6個のPOS-lucをマウス膝関節に移植し、6週間後に生体イメージングにて観察したところ、コントロール群では8匹中5匹(62.5%)、miR-143投与群では6匹中3匹(50.0%)に肺転移陽性シグナルが検出され、miR-143投与群で低値を示した。さらに犠牲死させ、肺における転移巣数を算出したところ、コントロール群では平均58.4個である一方、miR-143投与群では51.2個と減少傾向を示した。かかる所見は、miR-143投与によるイヌ骨肉腫細胞の肺転移抑制効果を示唆しており、ヒト骨肉腫細胞と概ね同様の効果を示すと考えられた。マウス個体へのmiR-143投与の際に用いるキャリアには、ペプチド製剤であるA6Kを用いたが、イヌへの投与に向け、混合液量を増やして作製する過程で一部析出し白濁することが明らかとなった。析出物の存在は、塞栓を生じる可能性があるため、イヌやヒトへの静注に適していないことから、キャリアの変更を含め析出しない混合液の作製法について追加検討を進めることとした。尚、安全性評価のためイヌへの投与にむけ、連携研究者の獣医師と話し合いをおこない、具体的な方法論について確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、マウスを用いた骨肉腫細胞の自然肺転移モデルを用い、ヒト骨肉腫細胞と同様にイヌ骨肉腫細胞でもmiR-143投与による肺転移抑制効果を見いだすことができ、骨肉腫罹患犬への投与に向けた基礎実験が概ね出揃ったため、当初の予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
動物個体へ投与するmiR-143製剤について、その作製方法をより詳細に検討する。併せて、イヌを用いた安全性試験及び投与対象となる骨肉腫罹患犬のリクルートを連携研究者と密な連絡を取りながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
安全性試験のためにイヌへの投与に用いる合成したマイクロRNAとそのキャリアであるA6Kとの混合液を作製するために使用する助成金(円)を予定していたが、混合液に析出物が見つかったため、イヌへの投与液の作製を一時中断したため残金が生じた。現在改良法を検討しており、新たな方法を構築した後、この助成金を使用して核酸製剤を作製する。
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