研究課題
ヒト皮膚線維芽細胞を96well plateで培養すると、接着細胞である皮膚線維芽細胞は細胞同士が接着しあって、36時間の培養にて自然と球状の凝集塊を形成し、直径500~600μmのスフェロイドとなった。このスフェロイドをコンピュータ上で構造体の配列を設定しまし、3D バイオプリンタを用いてスフェロイドを一つずつ剣山様ニードルアレイに刺していきスフェロイドを積み上げ、リング上の組織を作製した。自作した牽引培養器を用いて組織を牽引培養した。牽引群と非牽引群を設定し、ヘマトキシリンエオジン染色とマッソントリクロム染色を用いた組織像、腱成熟度スコア、細胞外基質マーカーとしてtenascin C、腱細胞マーカーとしてscleraxisを免疫染色にて評価した。牽引群では、4週では、核形態、細胞配列、細胞密度に非牽引群と比して変化は認めなかったが、8週では伸張した核を有す細胞の比率が増え、牽引方向と平行に配列する細胞の割合も増加した。牽引群では4週で青色に染まるコラーゲン線維の増生を認めたが、線維の走行は牽引方向だけでなく非牽引方向にも認め秩序性に欠けた配列であった。一方8週では組織全体の内、青色のコラーゲン線維が占める割合が増え、牽引方向と平行に秩序性をもって配列していた。腱成熟度スコアでは牽引群では4週より8週の方が有意に高く、培養期間と共にスコアの向上を認めたが、非牽引群では4週と8週で有意差はなく、牽引群8週は非牽引群8週に比してスコアが有意に高い結果となった。tenascin Cの免疫染色では両群共に4週、8週で発現を認めた。scleraxisの免疫染色では、培養4週・8週共に非牽引群より牽引群にて強い発現を認めまた。以上より牽引培養した組織は腱の非常に類似した組織となっており、足場を用いない方式で腱組織の再生が可能である事が示された。
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J Orthop Sci
巻: 14 ページ: 258-262
10.1016/j.jos.2018.10.002