研究課題/領域番号 |
16K10870
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岡 佳伸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80719865)
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研究分担者 |
金 郁ちょる 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (50244603)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生体内吸収性固定材料 / マグネシウム |
研究実績の概要 |
現在骨接合術には,一般的にステンレスやチタン合金などの金属性,もしくはポリ乳酸などの生体分解性のインプラントが使用されている.金属性のインプラントは抜釘手術を必要とし,生体分解性は生体内での強度の低さが問題となるため真に適切な生体材料は発見されていないと考える. 近年生体内吸収性があり,かつ強度が高いマグネシウム合金を用いた新たなインプラントの開発が検討されている.マグネシウムをインプラント材に用いることで、治療のために体内に埋め込まれた後、治癒が進むにつれて、体内でその耐食性を反映して徐々に溶解し、完全に治癒した後すべてが消失してなくなる。本研究の目的は超高純度マグネシウム製生体吸収性インプラントの生体吸収性、生物学的安全性、生体内での強度の維持などを評価することである. 平成29年度は日本白色家兎をモデルとして,骨内および大腿・下腿の軟部組織にマグネシウム製インプラントを留置し,単純X線像での長期間のインプラントの溶解過程の評価および埋め込み1年で完全に溶解したことを確認し、マイクロCTによる形態学的評価と組織学的な評価を行った。埋入したインプラントは単純X線では2週間の時点で旺盛な骨形成を認め、1か月時点で仮骨によりインプラントは完全に被覆されていた。半年頃から単純X線像上はインプラントが不明瞭となった。1年時点で摘出した大腿骨および脛骨のマイクロCT撮像したところインプラントは完全に消失しており、インプラントを覆うように形成された骨形成部分には一部孔形成を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルにおける骨膜上留置インプラントの完全吸収までの形態評価および組織学的検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
Mg純度や表面加工の方法を変えたインプラントで初期固定性や骨癒合までインプラントの強度が維持可能かなどの評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マグネシム製インプラントの吸収、溶解に1年近くの期間を要するため予想よりも観察期間が長期化し、全体の研究期間も長期化したため。 製造工程の異なるマグネシム製インプラント別にその吸収、溶解時間を調査し、また骨折モデルにおけるインプラントの強度についても検討し、臨床応用に向けて最適なマグネシム製インプラントの製造条件を決定する。
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