現在骨接合術には,一般的にステンレスやチタン合金などの金属性,もしくはポリ乳酸などの生体分解性のインプラントが使用されている.金属性のインプラントは抜釘手術を必要とし,生体分解性は生体内での強度の低さが問題となるため真に適切な生体材料は発見されていないと考える. 近年生体内吸収性があり,かつ強度が高いマグネシウム合金を用いた新たなインプラントの開発が検討されている.マグネシウムをインプラント材に用いることで、治療のために体内に埋め込まれた後、治癒が進むにつれて、体内でその耐食性を反映して徐々に溶解し、完全に治癒した後すべてが消失してなくなることが期待される。本研究の目的は超高純度マグネシウム製生体吸収性インプラントの生体吸収性、生物学的安全性、生体内での強度の維持などを評価することである.令和1年度は前年と同様の日本白色家兎モデルで日本白色家兎をモデルとして,骨内および大腿・下腿の軟部組織にマグネシウム製インプラントを留置し,単純X線像など画像評価での長期間のインプラントの溶解過程の評価を継続した。精製方法を調整した様々なインプラントを検討し,生体内埋入後1年半の期間インプラントを残存させることに成功しており、従来の問題であった溶解までの期間の短さを解決することが可能であった。
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