研究課題/領域番号 |
16K10872
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
上村 卓也 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10597321)
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研究分担者 |
高松 聖仁 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (30295688)
岡田 充弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40309571)
中村 博亮 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60227931)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 人工神経 / 再生医療 / 末梢神経 |
研究実績の概要 |
本研究ではヒトiPS 細胞と人工神経を併用してマウスの末梢神経再生を行う。これまでの研究成果(科研費基盤研究C 平成21 年度「21591904」、平成25 年度「25462300」)から、マウスiPS 細胞を人工神経と移植することによって、マウス坐骨神経損傷モデルにおいて長期的に安全でかつ効率的な神経再生が得られることを実証した。次にiPS 細胞の臨床応用へ向けて、本研究ではヒトiPS 細胞を用いてマウスの末梢神経再生を行い、その長期有効性と安全性について検証する。本研究成果によって、マウス末梢神経損傷に対するヒトiPS 細胞移植の安全性と有効性が確認されれば、自家神経を犠牲にしていた従来の神経移植治療に取って代わる新しい再生医療-iPS 細胞移植による末梢神経再生-の臨床応用へまた一歩近づくこととなる。 ヒトiPS 細胞から分化誘導した神経前駆細胞(第3世代)を人工神経に培養生着させて、iPS細胞付加ハイブリッド型人工神経を作製する。これを用いて免疫不全マウスの坐骨神経欠損部に移植再建を行い、移植後12 週における下肢機能回復や再生軸索数に関して従来法の自家神経移植と比較検討する。同様に、移植後48 週まで経過観察を行い、安全性(奇形腫形成の有無)の確認と有効性(下肢機能回復と再生軸索数)に関して自家神経移植群と比較検討する。移植したヒトiPS 細胞がシュワン細胞として機能し、再生軸索の髄鞘形成を担っているのか、免疫組織学的に検証し、神経再生促進メカニズムを解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ヒトiPS細胞から神経前駆細胞への分化誘導を行い、グリア細胞(シュワン様細胞)を最も豊富に含んでいる神経系細胞塊への分化誘導方法を検索中である。メディウムを含め様々な条件設定を行い、末梢神経再生に最も適した神経系細胞塊が完成するような分化誘導方法の確立に向けて検索を行っている。 同時に、免疫不全動物(NOD/SCIDマウスやヌードマウス)を用いて、これまでの坐骨神経広範囲欠損モデルと同様の末梢神経損傷動物実験モデルを確立させた。具体的にはiPS細胞を付加していない人工神経単独で移植再建を行い、コントロール群としての神経再生を評価(知覚神経・運動神経機能回復)した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS 細胞から神経前駆細胞(第3世代)を分化誘導する。これを人工神経に培養生着させて、iPS細胞付加ハイブリッド型人工神経を作製する。本年度に確立した、免疫不全マウスの坐骨神経広範囲欠損モデルに対して、神経欠損部に移植再建を行い、移植後12 週における下肢機能回復や再生軸索数に関して従来法の自家神経移植と比較検討する。同様に、長期間(移植後48 週まで)経過観察を行い、安全性(奇形腫形成の有無)の確認と有効性(下肢機能回復と再生軸索数)に関して自家神経移植群と比較検討する。移植したヒトiPS 細胞がシュワン細胞として機能し、再生軸索の髄鞘形成を担っているのか、免疫組織学的に検証し、神経再生促進メカニズムを解明する。
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