まず簡易的な膝蓋大腿関節圧を測定する装置を使用して実験を行った。市販されている人工膝関節(Triathlon、Stryker社製)の膝蓋骨コンホーネントを2 つに分割し、その間に薄型の圧センサー(Flexiforce、Nitta社製)を組み込んだ膝蓋大腿関節圧装置を作成した。それを用いてCS(Condyler stabilizing)モデルのトライアルインサートを用いて人工膝関節置換術を行ったときに後十字靭帯(PCL)を切除した時と切除しない時に膝蓋大腿関節圧がどう変化するかをCadaverを用いて調査した。結果は2017年のORS(Orthopaedic Research Society)Annual Meetingで発表した。同時に、膝蓋骨を置換しない状態で膝蓋大腿関節圧を測定するために、小型の6軸センサーを組み込んだ大腿骨コンポーネントの作成に着手した。第1段階目のプロトタイプを実際に作成し、模擬骨を用いて膝蓋大腿関節圧の測定実験を行った。センサーがインプラントから4mmほどはみだしたため、設計を修正した。最終的に昨年度末にセンサーをインプラント内に完全におさめたセンサー付きインプラントが完成した。また、膝蓋骨を2mm内側に設置した時の膝蓋大腿関節圧の変化を測定するために、2mm中心位置がずれた膝蓋骨コンポーネントも完成した。2018年8月に膝蓋骨を上下に6ミリ移動可能な可動性膝蓋骨コンポーネントを作成した。2019年2月にインプラントに表面形状を合わせた、ガス滅菌可能な膝蓋骨コンポーネント圧センサーが完成した。 2019年も引き続きデータ収集を行う予定である。すでに膝蓋骨の厚みを変化させたCadaver実験は終了し、結果に関しては本年の学会で発表予定である。今後は手術中の関節圧と術後の膝関節可動域や患者満足度との関連性について明らかにしたいと考えている。
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