研究課題/領域番号 |
16K10874
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森岡 秀夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10230096)
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研究分担者 |
菊田 一貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30383798)
堀内 圭輔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30327564)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 希少がん / 軟部肉腫 / 分子標的治療 / オミクス研究 / 化学療法 |
研究実績の概要 |
本研究は、「希少がん」としての軟部肉腫の病態に関する分子機構を明らかにし、既存治療薬の適応拡大および新規治療薬開発の道を開くことを目的とする。軟部肉腫は、肺転移やリンパ節転移などの遠隔転移を生じることが多く、このような場合は、化学療法が治療の重要な位置を占める。しかし、1970年代に、軟部肉腫に対する化学療法剤として、ドキソルビシンとイフォスファミドの2剤が導入されて以降、長きにわたり保険承認が得られた新規薬剤は開発されなかった。その理由として、軟部肉腫はその希少性から、病態に関わる分子機構の解明が十分になされなかったことが挙げられる。近年、血管新生阻害剤に位置づけられるパゾパニブの開発から始まり、トラベクテジン、エリブリンなど、軟部肉腫に適応を取得した新規薬剤が登場し、本領域の開発研究が本格化している。しかし、他のがん領域と比較すると、圧倒的に少ない治療選択肢であることに違いはなく、予後不良の進行軟部肉腫の患者にとって、まだ福音がもたらされたとは言えない状況である。そこで本研究では、軟部肉腫のセンター的役割を担っている当施設および関連施設に蓄積された豊富な臨床検体を用いて、オミクス研究としての網羅的発現解析により軟部肉腫の病態に関わる分子機構を明らかにし、治療標的因子を同定することである。そして、これらの研究結果が、軟部肉腫に対する治療薬開発の一助になることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度 転移の有無、予後良好・不良、再発の有無、化学療法奏功性・抵抗性など異なる病態の軟部肉腫臨床検体からタンパク質の抽出作業を行った。それぞれの病態に関して各10検体ずつを目標としていたが、予後不良例・化学療法抵抗例において検体の集積・蓄積が遅れており解析待ちの状態である。この間に、集積・蓄積が進んでいる予後良好例の検体について、RNAの抽出作業を並行して行っている。本研究では、すべての病態群の検体準備が終わった後に、各々の検体から抽出したタンパク質を大型ゲル二次元電気泳動法あるいは分子マトリックス膜電気泳動法で分離し、観察される約5000個のタンパク質スポットの中から軟部肉腫の病態に特徴的なタンパク質スポットを選別する。選別したタンパク質スポットをゲルあるいは膜から切り出しペプチド化し、質量分析装置で測定される精密質量のデータによってタンパク質同定をおこなう。mRNAの発現解析はアフィメトリック社の GeneChip Human Genome U133 Pus 2.0 Arrayを用いて行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度 予後不良例および化学療法抵抗性の軟部肉腫臨床検体の集積が終了した段階で、すべての病態群から抽出したタンパク質を大型ゲル二次元電気泳動法あるいは分子マトリックス膜電気泳動法で分離し、観察される約5000個のタンパク質スポットの中から軟部肉腫の病態に特徴的なタンパク質スポットを選別する。選別したタンパク質スポットをゲルあるいは膜から切り出しペプチド化し、質量分析装置で測定される精密質量のデータによってタンパク質同定をおこなう。mRNAの発現解析はアフィメトリック社の GeneChip Human Genome U133 Pus 2.0 Arrayを用いて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
転移の有無、予後良好・不良など異なる病態の軟部肉腫臨床検体からタンパク質の抽出を行う予定であったが。予後不良群と化学療法抵抗群の検体集積が不足していたため、解析を延期した。次年度は、検体から抽出したタンパク質を大型ゲル二次元電気泳動法あるいは分子マトリックス膜電気泳動法で分離し、観察される約5000個のタンパク質スポットの中から軟部肉腫の病態に特徴的なタンパク質スポットを選別する。そして、選別したタンパク質スポットをゲルあるいは膜から切り出しペプチド化し、質量分析装置で測定される精密質量のデータによってタンパク質同定を行う。これらの工程は、検体数がそろった後に同時に行うことが望ましく、そのために解析費用を次年度に持ち越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
抽出したタンパク質を大型ゲル二次元電気泳動法あるいは分子マトリックス膜電気泳動法で分離し、観察される約5000個のタンパク質スポットの中から軟部肉腫の病態に特徴的なタンパク質スポットを選別する。選別したタンパク質スポットをゲルあるいは膜から切り出しペプチド化し、質量分析装置で測定される精密質量のデータによってタンパク質同定を行う。mRNAの発現解析はアフィメトリック社の GeneChip Human Genome U133 Pus 2.0 Arrayを用い、全RNAから逆転写酵素を用いてcDNAを作成し、in vitroでの転写でビオチンを標識したcDNAを精製する。次年度は、以上を目標に研究を進める予定である。
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