研究課題/領域番号 |
16K10879
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
迫田 秀行 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (50443099)
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研究分担者 |
菅野 伸彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70273620)
富田 直秀 京都大学, 工学研究科, 教授 (50263140)
河上 強志 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 室長 (00434043)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 人工関節 / 超高分子量ポリエチレン / 生体脂質 / 耐久性 |
研究実績の概要 |
1.抜去インプラント及び関節液に含まれる生体内物質分析と劣化モデルの構築 今年度は、抜去インプラント6例と関節液5例を収集した。抜去インプラントからの抽出物9例、関節液5例を対象として、分析用キットによる脂質分析を行った。抜去インプラントからの抽出物4例、関節液1例、及び比較のためウシ血清3種類を対象として、ガスクロマトグラフィーによる脂質分析を行った。いずれも、コレステロールの含有量が多く、スクアレンの検出量は少なかった。以上の結果を踏まえ、より臨床に即した劣化モデルの設計を開始した。 2.生体内物質によるインプラント材料の劣化の力学的手法による評価と分解生成物の分析 新たに抜去インプラント5例について、断面をミクロトームで平滑に仕上げたブロック状の試験片を用い、微小硬度計を用いた測定を行った。表面近傍における硬度や弾性率の上昇は見られず、in vitroにおいてスクアレンを用いて脂質劣化を模擬した試料と同様の劣化は見られなかった。親水性表面処理を行ったインプラントが収集されたため、親水性表面処理層による脂質浸入抑制効果について検討を行った。摺動面の荷重部では、他のインプラントと同様に脂質の浸入が認められた。分解生成物を核磁気共鳴装置による分析を行うため、試料の準備を行った。 3.生体反応性 脂質による劣化が生体反応性に影響を与えるかどうか検討するため、in vitroにおいて脂質による劣化を再現した試料の作製準備を開始した。今回は、超高分子量ポリエチレンの粉末を用い、スクアレンを用いて脂質による劣化を再現し、上下倒置培養法を用いて生体反応性評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分解生成物の核磁気共鳴装置による分析と、粉体の生体反応性評価を、当初、年度内に予定していたが、試料準備の遅れなどにより、次年度の実施に変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
1.抜去インプラント及び関節液に含まれる生体内物質分析と劣化モデルの構築 入手済みの抜去インプラント及び関節液を対象に分析を継続するとともに、さらなる試料の収集に努める。スクアレンを用いない新たなin vitro劣化モデルの構築と評価を進める。 2.生体内物質によるインプラント材料の劣化の力学的手法による評価と分解生成物の分析 引き続き、力学的手法による評価を実施するとともに、核磁気共鳴装置による分解生成物の分析を行う。 3.生体反応性 超高分子量ポリエチレンの粉末を用い、スクアレンを用いて脂質による劣化を再現し、上下倒置培養法を用いて生体反応性評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
分解生成物の核磁気共鳴装置による分析と、粉体の生体反応性評価を、当初、年度内に予定していたが、試料準備の遅れなどにより、次年度の実施に変更したため。これらの実施に必要な消耗品等の購入に使用する予定である。
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