高齢者において転倒等に伴う筋損傷からの回復の遅れは、要介護への進行原因となり解決すべき重要課題である。我々はこれまでに、pro-IGF-IIの補充が老化筋の再生能力を改善することを見出しているが、pro-IGF-IIには癌細胞増殖促進作用があるため、臨床応用にはより安全で特異的な治療法が求められる。本研究では、pro-IGF-IIの作用細胞である間葉系前駆細胞においてpro-IGF-IIシグナルの解析を行い、脂肪分化を抑制し、癌細胞増殖促進作用をキャンセルできる可能性のある因子を同定した。この因子の投与は高齢者の筋再生能力改善のためのより安全な治療法となる可能性がある。
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