研究実績の概要 |
EMX2によるスプライシングアッセイ用のベクターは、RhD L320L変異の系で検証したところうまくワークしなかった。そこでp63のexon 12 と14を用いて再度Halo-tag, GFP-tag付のカセットベクターを作成し同様の検討を行ったところ、ワークすることが確認できた。このカセットベクターを用いてRhD exon 6, 7, 9のWeakD/Del原因変異についてスプライシング異常の有無を検討した。既知のK409K変異でエクソンスキップが確認されたほか、V319Vでエクソン7の正常なスプライシングの減弱が確認された。RhD L320L変異のエクソンスキップの原因を検討したところ、in silicoで予測されたSRSF1と変異部位RNAとの結合はRNA-EMSAやRNA pulldown assay では確認されず、他のSRSF分子が関与すると考えられた。候補SRSF計13分子の一過性発現ベクターを作成してRhDミニ遺伝子と同時導入し、splicing patternへの影響を評価した。positive な変化パターンを呈する複数の候補分子と、正常スプライシングを完全に阻害するSRSF3が同定された。p63, VHL, RhD, EMX2の安定発現・スプライシング解析用のミニ遺伝子を作成した。p63 exon 12-14 のミニ遺伝子にHalo-tag, GFP-tagをつけたものをATDC5, HeLaに安定導入し細胞株クローンを作成した。細胞株へのSRSF一過性強制発現系により軟骨分化誘導能のスクリーニングを行った結果、軟骨分化誘導分子の候補としてSRSF1, SRSF5, SRSF11, TRA2Bが示された。アデノウィルス発現系を作成しヒト間葉系幹細胞に導入したところ、SRSF1, SRSF11, TRA2Bの強制発現系に軟骨分化誘導が確認された。
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今後の研究の推進方策 |
とくにRhDのDel/WeakDの原因変異に着目しH28年度に作成したp63のexon 12 と14を利用したHalo-tag, GFP-tag付のカセットベクター(Halo-p63beta-Cas, Gp63beta-Cas)を用いて遺伝子変異によるスプライシング異常の有無を検証する。またRhDのexon 7を含むhnRNAと結合している可能性が強い、SRSF3およびその他のSRSFファミリー分子について、実際の結合の有無をRNA-EMSAやRNA pulldown assay/western blotting にて検証する。ATDC5やHeLaにp63のミニ遺伝子を安定導入したアッセイ用のクローン細胞株を用いて、インスリン投与による軟骨分化誘導や薬剤投与・紫外線照射によるアポトーシス誘導を実際に行って、スプライシングパターンの変化を検証する。またRhDやVHL, EMX2についてもミニ遺伝子導入安定細胞株クローンの作成を開始する。ヒト間葉系幹細胞にSRSF分子を強制発現させて軟骨分化を誘導する系において、軟骨分化のキー分子の発現調節やスプライシングパターンの変化をRT-PCRでより詳細に検証し、これらSRSF分子の標的遺伝子を探索する。
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