研究課題/領域番号 |
16K10890
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
二村 昭元 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40622098)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 関節包 / 解剖 / 組織 / 肩関節 / 腱板 / 肘関節 / 外側側副靱帯 / 内側側副靱帯 |
研究実績の概要 |
平成28年度は主に、肩関節の「関節包」に関する解析、肘関節の試験的解析を行った a. マクロ解剖的解析:解剖体肩関節標本(東京医科歯科大学)を用いて棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋からなる腱板筋群とその深層に存在する「関節包」を分離して摘出し、上腕骨ならび肩甲骨関節窩における腱板筋群と「関節包」両者の付着部、そして大結節や関節窩など骨性構造物との関係性を肉眼観察的に解析した。腱板構造の付着している大結節や小結節上方に比して、腱板構造の付着しない腋窩嚢や大結節中面・下面の境界においては関節包の付着は幅広く、肩関節全体として腱板との相補性が証明された。 b. 膜厚測定:肩関節より摘出し平面状に展開した「関節包」をマイクロCT を撮像し、得られたCT 画像から膜厚を数値化する。形状解析ソフトを用いて数値により色分けして表示することにより、非接触型手法で膜厚の局在性を全体像として可視化することができた。骨付着部に対応するように、付着幅の最も広い腋窩嚢の関節包は上方・後方に比して非常に厚く、数mmの膜厚をなし手いることが示された。 c. 組織学的解析:「関節包」の上腕骨・関節窩付着部においてダイアモンド・バンドソー(EXACT 312)を用いて非脱灰状態のまま関節面に対して垂直に切片を作成し、骨付着部と膜構造断面をヘマトキシリン・エオジン、マッソントリクロムなどの色素染色を行い現在、解析中である。 さらに、肘関節の内側の安定化に関わる、筋腱の共通腱膜構造について肉眼解剖学的に明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた、肩関節における「関節包」の解析に関して肉眼解剖、膜厚評価、組織学的解析という多角的手法により成果を上げている。 また、平成29年度に予定している、肘関節における「関節包」に適応する手法的基盤は確立されたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)肩「関節包」に関する解析結果は、肉眼・膜厚評価のデータをまとめて、Journal of shoulder and elbow surgeryに投稿済で、現在査読中である。組織学的解析に関しては、結果を2017年肩関節学会に発表予定である。 2)肘「関節包」に関しては、当初の研究計画どおりに、肩同様肉眼解剖学的解析、膜厚測定、組織学的解析の3手法を駆使して解析予定である。さらに、追加して筋腱の共通腱膜構造が安定化に寄与していることが推測され、あらたな検討項目として追加する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね研究計画通りの助成金使用となったが、誤差程度(764円)の残余が発生した
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の消耗品購入に、使用する予定である。
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