研究課題/領域番号 |
16K10894
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
遠藤 直人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10251810)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大腿骨近位部骨折 / 骨折連鎖 / 既存骨折 / 骨折危険因子 / 骨組織動態 |
研究実績の概要 |
高齢者では加齢に伴い骨強度が低下し、骨粗鬆症を呈し、軽微な外力で骨折をおこす。この脆弱性骨折は高齢者ではADL日常生活動作を障害し、高度では寝たきり、ひいては生命予後不良にいたる。いままでの研究成果より大腿骨近位部骨折者では過去に脊椎に既存骨折を有している方が80%程度おられことを明らかにしてきた。このことは、脊椎骨折があることは次なる骨折リスク、すなわち大腿骨近位部骨折のリスクであることを意味する。また大腿骨近位部骨折を起こした後、反対側の大腿骨近位部骨折をおこすリスクは4倍以上と高く、骨折が次なる骨折をきたす。これが「骨折連鎖fracture cascade」である。この骨折連鎖をきたす脆弱骨の病態を明らかにし、さらに骨折をきたす危険因子を探索することで、骨折低減への対策を立てることができる。最終的には骨折ゼロ・寝たきりゼロにつながることを目指すものである。 そこで本研究では焦点を高齢者脆弱性大腿骨近位部骨折後の二次骨折(反対側の大腿骨近位部骨折)の病態を解明することにしぼり、骨折患者さんを対象とした包括的研究をおこなうこととしたものであった。初年度、平成29(2017)年1月1日から12月31日までの期間に発生した大腿骨近位部骨折者を調査するとともに骨折後1年間の経過で反対側の大腿骨近位部骨折:二次骨折を来した症例と二次骨折を来さなかった症例で比較検討するための予備調査をおこなうこととした。第2年度は予備調査結果を解析するとともに骨折例の解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29(2017)年1月1日から12月31日までの期間に発生した大腿骨近位部骨折者の調査をおこなった。骨折者について年齢、性別、服用薬剤数とその内容等についての集計をおこなっている。大腿骨近位部骨折症例についての調査を継続している。 骨折後1年間の経過で反対側の大腿骨近位部骨折:二次骨折を来した症例と二次骨折を来さなかった症例で比較検討するための予備調査をはじめている。調査項目、調査方法とその評価についての検証を開始。高齢者の腎障害などの内部障害の有無と程度、認知機能の評価とフレイル、サルコぺニアの基本チェックリストに従い、調査をする。さらに立位のバランス、バイコンにて歩行解析を行い、それぞれの妥当性の検証をめざしている。「身体的評価、認知機能評価、サルコぺニアの診:AWGS Asian Working Group for Sarcopenia、DXAによる筋量測定」等である。骨粗鬆症患者さんについての同評価を行い、その特徴を検討している。大腿骨近位部骨折症例から承諾が得られ、可能な症例では骨折手術治療時に合わせて骨組織を採取し、骨形態計測の手法で組織所見、骨動態の解析を進めている。以上のことからおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
大腿骨近位部骨折の転帰は不良で寝たきりの要因ともなることから骨折ゼロ寝たきりゼロをめざすことが重要であり、そのために本計画に基づいて高齢者脆弱性骨折である大腿骨近位部骨折の病態解明を目指した調査と病態解明のための研究を引き続いて遂行する。 1)平成29(2017)年1月1日から12月31日までの期間に発生した大腿骨近位部骨折者の調査結果より、その解析をおこなう 2)骨折後1年間の経過で反対側の大腿骨近位部骨折:二次骨折を来した症例と二次骨折を来さなかった症例で比較検討するための予備調査をはじめている。調査項目、調査方法とその評価についての検証を開始。高齢者の腎障害などの内部障害の有無と程度、認知機能の評価とフレイル、サルコぺニアの基本チェックリストに従い、調査をする。さらに立位のバランス、バイコンにて歩行解析を行い、それぞれの妥当性の検証をめざしている。「身体的評価、認知機能評価、サルコぺニアの診:AWGS Asian Working Group for Sarcopenia、DXAによる筋量測定」等である。その結果を解析し、適切な評価指標の選択を進める。 その結果に基づいて大腿骨近位部骨折症例および骨粗鬆症で外来通院している患者さんについて調査解析を進める 3)大腿骨近位部骨折症例で承諾を得られ、手術可能な症例について骨折手術治療時に骨組織を採取し、骨形態計測の手法で組織所見、骨動態の解析を進めているが、さらに症例を増やし、解析を進める。骨折部位と腸骨から骨組織を採取し解析する。その所見と骨癒合との関連を検討する
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年1月からの骨折症例の調査をおこなっているが、骨折者の対象が1月1日から12月31日までの骨折発生者であり、そのデータ収集と解析に時間を要した。加えて骨折症例から骨組織を生検し、骨組織の解析を継続して進めており、その症例数が当初の予想よりも多く、さらにこの骨組織切片の作成および骨形態計測法による解析には数か月間を要したことから次年度使用額が生じた。
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