研究課題/領域番号 |
16K10901
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
蛯名 耕介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70612076)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ステロイド性骨粗鬆症 / ウルトラファインバブル / 破骨細胞 / 閉経後骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
【はじめに】本邦では約1280万人の骨粗鬆症患者のうち約8割が未治療とされ、治療普及率の低さが大きな問題となっている。中でもステロイド性骨粗鬆症(GIO)は若年者でも発症するため、長期に渡り安全有効な代替治療が望まれている。元来骨組織は低酸素状態であり、高酸素は骨を吸収して減少させる破骨細胞の分化を抑制し、かつ骨を形成する骨芽細胞の分化を促進し得ることが報告されている。そこで我々は骨組織の低酸素状態を改善するためにUltra-fine bubble(以下UFB;直径200nm以下のウイルス大の気泡)という新規技術に着目した。 【方法】マウス皮下にステロイドを8週間留置し、GIOマウスを作製した。術翌日より週3回、200ulの生食・酸素UFB(以下OUB)生食・窒素UFB(以下NUB)生食のいずれかを腹腔内投与し、8週間後に骨構造・組織学的評価、並びに骨代謝マーカー等による評価を行った。細胞培養実験ではOUBを飽和希釈後に段階希釈した培養液でマウス骨髄由来破骨細胞とマウス頭頂骨由来骨芽細胞を培養し、増殖・分化への影響を評価した。 【結果】GIOマウスの骨密度低下は、OUB生食投与により生食・NUB生食投与群と比較して有意に改善した。またGIO誘導による骨組織における破骨細胞数の増加は、OUB生食投与により有意に抑制された。血液検査ではGIO誘導による骨吸収マーカー(CTX1)の増加はOUB生食投与により有意に抑制された。細胞培養実験ではOUBは濃度依存性に破骨細胞数・骨吸収領域および破骨細胞の分化・機能関連遺伝子発現を抑制した。一方、骨芽細胞へは有意な影響が認められなかったことより、OUBによるGIOの改善は主に破骨細胞の分化および機能抑制によるものと考えられた(Noguchi T, Ebina K, et al. Osteoporos Int. 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り平成29年度は骨粗鬆症で最も患者数の多い閉経後骨粗鬆症を想定し、かつ利便性を考慮して卵巣摘出した閉経後骨粗鬆症モデルマウスへのOUB水の経口投与での治療効果を検討した。まず卵巣摘出により骨組織での破骨細胞が増加し、骨量が減少する閉経後骨粗鬆症モデルマウスを安定的に作成することに成功した。次いでマウスは自由飲水の状態でもOUB蒸留水を通常の蒸留水と同用量かつ明らかな副作用等なく摂取可能であることを確認した。卵巣摘出8週間後のOUB蒸留水投与群と蒸留水投与群の骨組織を比較したところ、卵巣摘出に伴う大腿骨遠位部骨髄の脂肪化はOUB蒸留水投与群で抑制される傾向を認めたが、骨量については両群で有意差は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおいてOUB水の経口投与は骨髄の脂肪化を抑制する傾向を認めたが骨量を維持するには至らなかった。今後はエストロゲン低下による骨髄脂肪化へのOUB水の効果を検討することと、ヒトの静脈投与に相当する腹腔内投与での閉経後骨粗鬆症モデルマウスへの治療効果を検討する予定である。
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